これからアメリカへ留学する方や、アメリカ内で地域を移られた方で、これから車が必ず必要という方も多いと思います。
現地での車選びは生活の自由度を大きく左右する大事なステップです。本記事では、購入ルートの特徴や交渉のコツ、登録手続きから保険まで、実体験ベースで押さえておきたいポイントをまとめました。渡航、引越し後すぐにでも動き出せるよう、ぜひチェックしてみてください。
1. まずは購入ルートを決める
ルート | 特徴 | メリット | デメリット |
---|---|---|---|
個人売買 | 売主と直接取引 | 中間マージンなし/価格交渉しやすい | 手続きはすべて自己責任/相手の信頼度にばらつき |
ディーラー | 正規・中古どちらも対応 | 登録や書類作成を一括代行 | 価格交渉が難しく割高になりがち (複数店舗から見積もりを取得するのが良い) |
2. 新車か中古車か?
- 金銭面は一つの大きなファクターですが、ローンはしっかり返せば逆にクレヒスに好影響という面もあります。
- 新車はもちろん高い一方で、中古車も意外と高い(価値が下がりにくい)です。北米では中古車が意外と良い値段で売れるので(日本製など金額が変わりにくかったり、故障しにくいなどで好まれるパターンもあるのでそのような車種の違いなども見てみるのもありかも)、新車を買って数年後に売るならば意外とトータルでかかる値段は中古車と同程度かもしれません。
3. 車種の選び方
- 譲れない条件をリスト化する(例:SUV・ハイブリッド・20XX年式以降)
- 中古車では以下に要チェック
- 走行距離・主要部品の故障歴を要チェック。
- VIN を Kelly Blue Book (KBB) に入力し、想定価格・事故歴を確認。
- 燃費も意外と重要
- ガソリンの値段も州によるため、燃費の良さの重要性も場所によって重要なポイントです。
- 場所によってはスノータイヤが必要なので、タイヤ交換を頭に入れて購入すると良い。
- サイズ感と安全性
- アメリカは大きい車が多いので、衝突した際の被害を少なくするためにSUVなど大きい車を買う人もいます。
- 一方都市圏などレーン幅が狭いところではセダンサイズの方が運転しやすい場合もあります。
- セキュリティ
- 車によっては鍵が開けられる可能性があるなどセキュリティに疑問符が付きます。
4. 購入前の Tips
- Kelly Blue BookでVINナンバーを入れたり車の特徴を入れることで車の価値の概算を算定できます。
- 個人売買の場合、2人で一緒に整備工場に行き、事前チェックサービスを受けて納得した上で売買を決断するのが良いです。
- ブランドや車種というよりも、結局はディーラーや人次第なので、ローカルディーラーの口コミを周りの人から集めておくのもおすすめです。
- Trade-inオファー(自分が持っている車を買い取ってもらう)があったりするので要チェックです。
- 個人売買の際、車のローンが残ってる場合、銀行を介入して取引をする事も可能(ローン会社との兼ね合いも含めて)です。
- 車のTitleはDMVで登録をする際に必須なので、忘れずに受け渡しましょう。
- 車の登録をしていなくても、一定期間はタイトルがあれば路上で止められても大丈夫です (州によるとは思いますが、ミネソタ州は10日以内に登録が義務だったと思います)。
- アメリカは運転が荒い人が多いかつ、訴訟社会のため、万一に備えてDash Cam(日本で言うドライブレコーダー)を買っておくこと推奨です(40ドル-数百ドルのものまであるが、付けていないよりは安くてもあったほうが良い)。
5. 有料道路とパーキング
有料道路
- 高速道路が基本無料なのは日本との違いだが、Toll roadが所々あるのでEZpassを持っておくと便利(なかったとしてもToll by PlateやCashのオプションがある)です。
- 州によっても違うパスが出されているところがあるので、いる場所に一番適しているものを探すのがベストでしょう。
パーキング
- 家の外にフリーパーキングスポットがあると便利。アパート契約の時などにチェックしておくと後から得です。
- アパートなどはパーキングガレージがあるところが多いですが、毎月の料金が高い可能性もあります。
- 大学付近に住んでいる人は、大学の月決めのLot(屋外)などに停めると安く済むケースもあります。
- 街中はストリートパークが多いので、縦列駐車スキルが必須となります。
- 積雪など、冬の対策が必要がある州もあります。
6. ディーラーとの交渉術
以下は、運営メンバーの体験談をベースにしたコツです。
- 足元を見られないように、できるだけ低めの予算を提示する。ただ低く設定しすぎると「そんな値段では売れない」と突き返されて、交渉もさせてもらえないこともあるので、現実的な予算設定が肝要。Kelly Blue Bookで実際の購入金額の統計が見られるので参考にすると良い。
- あるディーラーからもらった見積もりを他のディーラーに提示して交渉材料とする
- できるだけメールで交渉したのち、実際にディーラーに出向いて直接話すとディスカウントを提示してくれることも多い
- 割引を提案されても迷う場合は、その場で決断せず出るふりをすると、さらなる割引を通じて引き止めようとしてくれる場合が多い
- 噂にすぎないが、月末近くはディーラー側もノルマ達成のため割引してくれやすい可能性がある
- 対面での英語交渉に不安がある場合は特に、ネイティブの方と一緒にディーラーに行くことが対策になることもある
- ディーラーに売る際も何軒か回って見積もりを取ってから一番良いところを選ぶと良い。日本人による日本人向けサービスが必ずしも良いとは限らない。
- 実際の購入時にWarrantyオプションなどを手際よく勧められ、その場で即決するように促されるが、一旦考えても大丈夫。AAAなどのロードサービスメンバーシップに別で入ることも選択肢としてある。
7. 個人売買について
Facebook marketplaceでも投稿をよく見るが、詐欺の場合が多そうで筆者は買った人を見たことがありません。
逆によく聞くのが、日本人コミュニティで海外から日本に戻る先輩研究者などから購入する場合です。
個人売買の際は、以下の点に気をつけると良いでしょう。
- 大まかなマイル数
年間1万マイル以上走っている場合は、なかなかヘビーユースです。トータルで20万から30万マイル超えるとかなり古い中古車のため注意が必要、という印象です。 - 車種
トヨタ、ホンダは修理部品が手に入りやすいので、費用は収まりがちです。BMWなどヨーロッパ車を買うと、部品の取り寄せ費用が高く付くこともあるので注意です。 - Kelly Blue Bookで確認
Vehicle Identification Number (VIN) を聞いて、その車の事故歴、修理履歴を確認。修理歴は適当なこともあったので注意です。 - 実際に試乗してみる
実際に運転してみるとどれだけ、使われているのかわかりやすいので先にお願いしておくのがよいです。分かりにくければ、車に詳しい人も同乗をお願いしてみると良いかもしれません。 - メカニック(Mechanic)での購入前Inspection
購入前に車に重大な欠陥がないかどうかをメカニック(Used Car Inspectionというサービス名)で検査してもらうのもありです(筆者が先月行った時には、30ドル程度で見てもらえた)。一方で評判の悪いメカニック等に持っていってしまうと、虚偽報告をされる可能性があるらしく、知人から紹介してもらうか、Google Map等でレビューをきちんと確認してから選ぶことが重要です。Inspection後は、修理が必要な項目などをまとめたレポートがもらえるので、その場で全部一度目を通して、わからない点はその場で整備士に聞いておくと良いでしょう。 - Title Transfer、車の登録
車の所有権譲渡の際に必要な手続きで、Title Transferのための書類を事前に記入して、DMV(車両管理局)のオフィスに持っていく必要があります。書類の名前は州によって異なるかもしれませんが、ミネソタ州ではCertificate of title for a motor vehicleという名前がそれに相当しました。基本的にTitleを譲渡する側が書類をリクエストし、書類の大半は譲渡する側が書きますが、譲渡される側も名前、アドレス、署名が必要です。
Title Transferが終わったら、その場で車の新規登録手続きを行うことができます。ここでは、車両税(日本と違い、登録時に車両価格の数%を払うのみ)やその他の手続きにかかる手数料を支払い、新しいナンバープレートを受け取ります。参考までに、筆者の場合は3400ドルの車体価格に対し、税金や手数料合わせてこれらの手続きは合計約350ドルでした。以上の二つが完了すれば、手続き終了です。
DMV手続きの追記(体験談)
州によってはDMV予約が数週間待ちになることもあるため、売買が決まったら早めの予約がおすすめです。一部州ではDMVではなく、民間の代理業者で登録ができる(例:ペンシルベニア州など)ため、調べておくと時短に。
州によってはナンバーが車に紐づく州(例:ミネソタ)と、人に紐づく州(例:カリフォルニア)があるそうです。後者では売却時にナンバーを返却して、自分の新しい車に同じナンバーを使うことも可能。一時的な仮ナンバー(Temporary Tag)の発行が可能な州もあるので、中古車を買ってすぐ使いたい人には便利です。
大学周辺での個人売買の場合の追記
- 需要の高い時期(春〜夏)は中古車価格が上がる傾向にあるそうです(特に大学生の引っ越し時期前後)。ただ、カレッジタウンの場合は逆にInternationalの学生が帰るタイミングで沢山売りに出るパターンも。
- 冬場は販売数が落ちるため価格交渉の余地が増えることも。
- 雪国では冬タイヤ付きでの販売があるかも要確認!!あと、ハンドルや座席にヒーターがついているなどもかなりプラスになります(有難みをこっちに来て知りました)
8. 保険の選び方
ネット上で見積もりをたくさん行って、安いものを選ぶしかない(個人情報をたくさん打ち込むためScamメールが来るようになるのが玉に瑕)印象ですが、以下のようなポイントがあります。
- 有名どころはGEICO, PROGRESSIVE, AAA, State Farmなど。
- いくつかに絞ったら、あとは電話でエージェントと直接話すことでさらに割引が効くことがある。
- 日本で運転免許を持っていた期間はカウントされないため、アメリカの免許取得時点から短いと初心者と判断されて割高になることがある。初回は仕方ないので、半年や1年の更新で保険の見直しをすることで2回目以降は安くなることが多い。
- 家の保険などと合わせる(バンドル)と割安になることがある。
- 州によるが、日本に比べてかなりかかるので、覚悟が必要。一方車検はない。
- 年齢によって保険の金額が大きく変わるのも特徴(年齢が若ければ若いほど高くなります…)。
- 基本的にしっかりとかけた方が良いのが、Liability (Body Indury、 Property Damage)自分の過失で相手に損害を与えた場合の保証。州によって、何ドル以上はかけないといけない義務があるが、その閾値は正直低い。アメリカは医療費が高額なので、補償額が低いとUnder Insuranceで不足分は自腹になる。何万ドルという額を請求される可能性もあるので、そうならないように保証額は目一杯上げておくと安心。
- Comprehensive: 車同士の衝突以外でのダメージを保証してくれる。例えば、災害、動物との衝突、カージャックなど。
- Uninsured/Underinsured Motorist: 偶に無保険や保証額が安すぎる人が事故を起こして、損害分の支払いができない人がいるそう。そのような場合に必要額を保証してくれるオプションがある。この項目の保険料はそんなに高くないので、付けておいて良いかも。
- 衝突時の保証 (Collision): 走行距離が長い中古車だと、大金を支払って修理する必要があるか微妙。ドライバー次第。
- その他は、保険会社がデフォルトで提示してくるオプションで特に大きな問題はないかも。
以上、車の購入に伴う手続きやコツなどを紹介しました。アメリカで車を手に入れるときは、相場を調べる → 整備士に点検してもらう → 複数先と交渉する → 保険を整える、の順で進めると安心です。Kelly Blue Bookで価格を確認し、信頼できるメカニックで事前検査を受け、納得できる条件が見つかるまで比較を続けましょう。十分な保険とドライブレコーダーも忘れずに。ポイントを押さえて、自分に合った一台で快適な留学生活を送ってください!