1. 自己紹介
2024年10月からドイツのケルンにあるケルン応用科学大学(TH Köln)のMA International Business(修士課程)に進学するYiying Wangです。私はハンブルク大学(Hamburg University)のMSc Innovation, Business, and Sustainability(MIBAS)、ケルン応用科学大学(TH Köln)のMA International Business(IBMA)、ホーエンハイム大学(Hohenheim University)のMSc International Business and Economicsに出願し、ケルン応用科学大学とホーエンハイム大学に合格しました。
この合格体験記は、ドイツの大学院の文系ビジネスプログラムに申請する際の問題点と解決策をまとめたものです。特に提出書類と英語試験対策について詳しく説明していきます。研究力を重視する理系とは異なる文系ビジネスプログラムに関する体験談が少ないため、同じ分野をドイツで学びたい方や、日本の大学に在籍している留学生にも役立つ情報を提供できればと思い、執筆しました。最後まで読んでいただけると幸いです。
2. 大学院留学を志した理由・きっかけ
2.1. 海外への探究心
私は大学3年生の時、アメリカのクレムソン大学に2学期交換留学をし、アメリカでの生活を体験しました。2023年5月に帰国し、就職か大学院進学を考える際、他国での生活に挑戦したいと思い、アメリカの大学院も検討しましたが、クレムソン大学のビジネスカレッジが2024年修士課程を募集していないことや金銭的理由で断念しました。ヨーロッパには一度も行ったことがなく、ドイツの大学院が学費無料1であることから、ドイツの大学院に申請することを決意しました。
2.2. もう一つの言語を習得できる
急に全く知らない言語を使う国で生活するのは大変かもしれないと思いましたが、言語の壁を全力で越えたいと思っています。8年前にゼロから日本語を学んだ経験があり、そのおかげで精神的に強くなりました(笑)。学習のプロセスは辛いかもしれませんが、挑戦したい気持ちがあるので頑張れます。
2.3. 将来のために
私は日本、中国、アメリカ、オーストラリア(高校時代に1ヶ月間の交換留学)に住んだ経験があり、長期的に住みたい国を探しています。修士課程を取得しながら、ドイツとヨーロッパでの生活を経験したいと考え、ドイツの大学院を選びました。将来的にはドイツでの就職を希望していますが、2〜3年後の就職状況は予測できないため、日本に帰国して就職する可能性も考慮しています。この覚悟をもって大学院申請を始めました。
2.4. この大学院は自分に合う
合格後に気づきましたが、ケルン応用科学大学の国際経営学修士課程の募集条件は、総合大学とは異なり、母国語と英語に加えもう一つの言語(初級でも可)と海外経験が求められます。私はこれらの条件を満たしており、実践重視の教育と就職サポートが充実している応用科学大学が自分に合っていると判断しました。
3. 受験タイムライン
私の受験タイムラインは以下の通りです。学部在籍中に行ったことも含めて、学業と受験をどのように両立したか示しています。
出願書類と英語試験の勉強に関して、以下の項目ごとに説明します。
事前にお伝えしたいのですが、私は少し費用をかけてGoGermany というドイツ留学エージェントのサポートを受けました。エージェントは大学院探し、CV作成、SoP作成、大学院出願を手助けしてくれました。また、IELTSとGMATの試験対策のために、中国のオンライン塾に通いました。塾で手に入れた出願情報と試験対策のコツを共有したいと思います。
4. SoPについて
私はXPLANEのSoP執筆支援プログラムに間に合わず、エージェントと学部のゼミ教授に添削してもらいました。また、XPLANEウェブサイトでのSoPに関する記事と実例を参考にしました。SoPの作成はできるだけ早めに始めることをおすすめします。十分な時間を確保し、内容や構造を何度も見直してブラッシュアップしていくことが重要です。
ケルン応用科学大学IBMAプログラムのSoPは、以下の5つの段落で作成しました:
1. 自己紹介と国際経営学を学びたいきっかけ
2. 学部での学びと海外学会発表の経験(学問力を示す)
3. 交換留学経験と留学先での学びの紹介(学問力を示す、海外経験と大学院が求める学生像に相応しい学生であることを示す)
4. ケルン応用科学大学への入学理由、IBMAプログラムの特徴、自分が身につけたい能力と貢献できる点(入学後の計画が明確であることを示し、このプログラムを通して成長できる点を読者に伝える)
5. 卒業後の予定(将来の夢はこのプログラム・大学院を通うことで叶えられることを伝える)
段落と段落のリンケージがとても重要です。
文法チェックは、Cambridge Proofreading & Editing LLCというサイトを利用しました。専攻分野に詳しい方が納得できる価格で添削してくれるので、コストパフォーマンスが良いと思います。
IBMAプログラムは海外経験、英語能力、学問応用力を重視しているため、プログラムの特徴や学生像を理解し、それに合わせて自分をPRすることが重要です。もしどうしても他の学生が書いたSoPを気になるなら、インターネットで他の学生が作成した志望理由書を参考にするのも良いですが、他人のコメントがあるサイトでの閲覧をお勧めします(例:https://www.usingenglish.com/forum/threads/motivational-letter-for-bachelors-international-business-management.292874/)。
ハンブルク大学のMIBASプログラムでは、出願者が指定された問題に答えながらSoPを作成する必要がありました。このプログラムは私の専攻と完全には一致しなかったため、持続可能性やSDGs、ESGに関する専門用語や文献を調べながらSoPを書きました。最終的に、学部での履修科目のマッチング度が低かったため不合格となりました。履修科目のマッチング度に関する詳細は後の項目で記載します。
5. CVに関して
私は10月ごろにCVの作成を始め、約2か月間修正を続けました。しかし、エージェントからは「CVにばかり力を入れず、SoPをより重視するように」とアドバイスされました。プログラムによって異なりますが、CVの提出は必要でも、実際にはあまりしっかり読まれないこともあるようです。エージェントによると、以前サポートした学生の中には、約5行しかないCVを提出したにもかかわらず、良い大学院からオファーをもらった例もありました。それでも、きちんとしたCVを作成することは重要です。エージェントからは、Europassという無料の履歴書作成サイトを勧められました。。アカウントを作成すれば、自由にCVを作成できます。もちろん、自分でMicrosoft Wordなを使って作成しても問題ありません。 XPLANEのサイトにはCV/Resumeの作り方を説明する記事があるので、 そちらを読むだけで作成方法を理解できると思います。
6. 履修科目のマッチング度に関して
大体のドイツ大学院の出願者がこの点をすごく気にしていると思いますが、私の見解をお伝えします。10月ごろにエージェントにいくつかの大学院を紹介してもらいましたが、学部で統計学、数学、定量的研究の単位が少なすぎるため、ほとんどの総合大学院に出願できないと言われました。最初はケルン大学に出願したかったのですが、プログラムが求める細かい分野の単位数に足りず断念しました。結果として、出願した総合大学はハンブルク大学とホーエンハイム大学のみでした。
出願前に学生募集要領を確認し、どの分野がどのくらいの単位数を求めているかをチェックしましょう。履修単位数が条件を満たしているかどうかを確認してくれる大学院もあるので、メールで質問するのも良い方法です。プログラムによっては 指定された分野ごとに、自分が履修した科目名、授業内容、単位数を記入して提出することを求められることがあります。
もしある指定された分野の単位が少し足りない場合、関連する授業を記入することも可能です。その際、説得力を持たせるために授業内容を詳しく説明することが重要です。例えば、あるプログラムが数学・統計学分野の単位を6単位求めているが、自分は4単位しかない場合、ゲーム理論の2単位を数学・統計学分野に含め、授業内容を説明して数学を学んだことをアピールすることができます。
ただし、最終的に条件を満たしているかどうかを判断するのは採用チームなので、履修科目のマッチング度が低いと不合格になる可能性もあります。私が知っている限り、Uni-assistというサイトを通して出願する以外の志願校は、無料で出願できます。やってみないとわからないので、各授業の内容を丁寧に説明して、チャンスを広げてください。
7. IELTS対策
私の場合、2021年に大学の交換留学交付金を申請するため、3回受験してIELTS 7.0を取得しました。大学院の申請用には、1ヶ月間だけ対策してIELTS 6.5を取得しました。2021年には中国のオンライン塾を利用しました。
多くの体験談では、リスニング対策としてCNN NewsやNetflixを見たり、ポッドキャストを聴いたりと、外部リソースを活用する方法が紹介されていますが、私にはこの方法は合いませんでした。私のアドバイスは、対策期間が短い場合、紫色のIELTS公式問題集をメインに対策することです。IELTS公式問題集を十分に活用すれば、問題のタイプや構造の理解、よく出る単語の収集ができ、模擬試験として活用できます。同じ問題を一度だけ解くのではなく、繰り返し解くことで対策と問題点を意識して理解を深めることが重要です。
オンライン塾で教わったコツや実体験から考えた解き方、復習手順をマインドマップでまとめました。
8. GMAT対策
今まで受けた全ての英語試験の中で、一番難易度が高かったのがGMATでした。1 回目は旧形式のGMATを受験し、2回目は新形式のGMAT(GMAT Focus Edition)を受けました。結果は575点で、この点数でケルン応用科学大学とホーエンハイム大学に出願し、2つとも合格しました。
私はオンライン塾を利用する以外に、GMACのサイトで全てのセクションの公式問題集(GMAT Official Guide、GMAT Official Guide Quantitative Review、GMAT Official Guide Verbal Review、GMAT Official Guide Data Insights Review)と模擬試験4 回分(GMAT Official Prep1&2は無料、3~6は有料)を購入しました。GMAT Official Practice Questionsもサイトで販売されていますが、公式問題集と模擬試験の問題を全て解いて理解できたら購入を検討するのが良いと思います。
まずはGMAT Official Guideを解き、その後にOfficial Guide Reviewを解きました。本番の1〜2週間前からは毎日模擬試験を1回分解くようにしました。公式問題集の難易度は本番より低いので、全ての問題を完璧に理解するように努めました。
公式問題以外では、GMAT Clubを利用して問題の詳しい解説や他の解き方を探しました。このサイトにはManhattan出版の問題も掲載されていますが、公式問題だけでも数千問あるので、個人的には公式問題を解くだけで十分だと思います。
9. これから海外大学院へ出願する人へのメッセージ・アドバイス
とても長い記事になってしまいましたが、どうしても共有したい情報が多かったため、ここまで書きました。試験勉強と大学院申請の間に何度もスランプに陥りましたが、明るい未来が待っています!「確かに未来はある あなたの希望が絶たれることはない。」最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
- まだ州によって異なりますが、修士課程ではEU圏外から来る学生に対して安くない学費を求める大学が、この数年増えてきました(博士課程はの学費は引き続き無し)。学費の有無は各大学のホームページをよく確認することをお勧めします。 ↩︎