海外送金・銀行口座開設・クレジットカード【渡航ガイド】

海外送金、銀行口座開設、クレジットカード

(2023年5月時点での情報です。制度の詳細などは変更の可能性があり、それぞれの方で事情が異なりますので、
必ず本ページだけでなく、各企業などのホームページを参照してください)

留学地に到着してすぐにお金が必要になった時のために、現地に銀行口座があれば事前にある程度海外送金、なければ海外通貨ですぐ下ろせるように、またはクレジットカードが使えるようにしておくと安心です。特に海外の多くの国ではキャッシュレス社会のため、現金持ち込みはリスクや手間的にも最小限に押さえておきたいところでしょう。
(注:学位留学のような長期留学の場合、いずれ現地の銀行口座開設はほぼ必須のため、ここでは口座開設までどのように乗り切るかという短期的な話をメインにしています。国によって状況が異なる可能性もあるため、大学からの手続き案内等あればそちらに従ってください。)

目次

1. 海外への送金

主な選択肢

  1. 現金持ち込み
  2. 銀行送金         (例) ソニー銀行SMBC信託銀行プレスティア
  3. オンライン海外送金        (例) WISE, Revolut(EU圏)
  4. 日本で開設できる海外銀行口座 (2. 銀行口座開設 のセクションを参照)
  5. 海外使用可能なクレジットカード (例) JAL USAカード, ANA カード USA(アメリカでクレジットヒストリーが貯められる)

一般的に、日本円を外貨にするときにかかるコストは

  • 為替手数料
    日本円を外貨に変えるときの銀行・両替所独自のコスト(レート連動のため替える金額が大きいほどコストも大きくなる)
  • 送金手数料
    日本の口座から海外の口座に送金するときのコスト(いわゆる手数料、概ね定額)

の2つであり、これらをできるだけ抑えることが望ましいでしょう。

【WISEとは?】
多くの留学生が使用している海外送金サービスで、主に以下の3つのサービスがあります。

①多種通貨のオンラインバンキング(ネット上の口座)
②海外送金
③WISE口座に紐づいたデビットカード

日本国内から無料でアカウントが作成できるため、使用する場合は出国前に手続きをしておくと、バーチャルな外貨口座を持つことができます。注意点として、WISE口座開設の際、最初の認証にマイナンバーカードが必要となるため、転居届を出してマイナンバーカードが無効になる前に開設しておくと良いです。開設した外貨口座と連動したデビットカードを日本から持参すれば留学先に到着後すぐ留学先の通貨で支払うこともできます(クレジットカード機能は2023年4月現在で無し)。その後留学先国内で銀行口座を開設した場合、WISEのドル/ポンド/ユーロなどの口座から現地の銀行口座への送金手数料はかかりません。

送金手数料を低く抑える仕組みとして、自身の日本円口座から海外口座に移す場合、WISEの日本円口座にまず振り込み、その金額がWISEの海外口座から自分の海外口座に振り込まれる仕組みになっています。そのため振り込み指定先のWISEの口座がランダムな口座に見えて振り込みを躊躇うこともあるかもしれないですが、気になる場合は少額の送金から始めて確認すると良いでしょう。ちなみに、WISEの日本側の入金口座がpaypay銀行であるため(以前は三菱東京UFJ銀行でしたが、変更されました)、ご自身の日本円口座もpaypayだとさらに日本円入金時の手数料が安くなります。また、現地通貨を持っていない場合、日本円から両替する必要がありますが、WISEには指定した為替レートに到達したタイミングで自動両替してくれる機能があります。

2. 銀行口座の開設

日本から開設できる銀行口座を事前に開いておくか、渡航後に現地の銀行で開設することになります。
後者の場合、開設して実際に使用できるまでに時間が多少かかるため、それまでの期間をどう乗り切るか考えておく必要があります。その間はWiseやRevolutなどのデビットカード現金持ち込み(多額の持ち込みには税関などで手続きが必要になる場合もあるので注意)、日本から持参したクレジットカードなどで乗り切る(外貨両替手数料がかかることも)などの方法があります。

※ 海外移住に伴い日本の電話番号を解約する場合、日本の銀行口座の維持にも注意しましょう。日本に住民票がない場合解約しなければならない/代理人を立てることで維持可能/別プランの加入で維持可能、など銀行によって制度が異なるため要確認です。

「ユニオンバンク」は日本にいながら三菱UFJ銀行を通じてアメリカの銀行口座を開設できる唯一の銀行でしたが、U.S. Bankに統合されたため受付を停止しています。(参考サイト)。同種のサービスをU.S. Bankと検討しているようですが、2023年5月現在では未確定です。

3. クレジットカード

キャッシュレス社会において便利なクレジットカードですが、例えばアメリカの場合、一定以上のクレジットヒストリー(クレジットスコア)SSN(ソーシャルセキュリティナンバー、アメリカの場合)を持っていないとクレジットカードを作ることができない場合があります(イギリスなども同様のシステム)。クレジットカードには(1) ポイントが貯まるなどボーナスなどの恩恵が大きい (2) 不正使用、カードの盗難などの場合も際限なく使用される心配がない/保険がある、などデビッドカードと比べての利点が多いですが、いきなりは作れないことも多いです。初の渡米/長期滞在の場合は、ひとまずSSNやクレジットヒストリーがなくても作れるカードを使い、徐々に申請条件の高いカードに移っていけば良いでしょう。

【クレジットヒストリーとは?】
個人の財務歴(クレジットカードやローンの利用履歴、支払いや返済がきちんと行われているかなど)のことで、クレジットカードや賃貸住宅などの種々の契約の際に個人の信用度を示す指標として使用されることがあります。これを数値で表したのがクレジットスコアで、300〜850の間で決定され、700以上はgood、800以上はexcellentといった目安となります。
クレジットヒストリー自体は日本にもあるシステムですが、アメリカのクレジットヒストリーはアメリカの銀行やカード、イギリスのクレジットヒストリーはイギリスの銀行やカードに基づいて国ごとに記録されます。(参考サイト

【ソーシャルセキュリティーナンバー(SSN)とは?】
社会保障局が個人に発行する9桁の固有の番号で、収入の確認や徴税のために作られたもの(参考サイト)。
留学生では多くの場合、大学とアクティブな雇用関係にあること(TAやRAなど)が、SSNを取得できる条件となります。ただ大学によって状況が異なる場合があるので、詳しくは各大学のサイトや事務局に確認しましょう。

4. 海外送金、口座開設、クレジットカードに関する経験談【先輩の声】

  • なぜかSSNが申請しづらいPhDプログラムで、結局PhDの間はITINで過ごした。これによってクレカもなかなか作れず苦労した。(アメリカ)
    (編注) Bank of AmericaやChaseなど、SSNやクレジットヒストリーがない留学生でも口座やクレジットカードが作れる銀行もあります。大学の留学生オフィスなどに相談してみると良いでしょう
  • WISEは確かに安いです。ただ、金額や状況によっては他銀行等のネットバンキング海外送金の方が手数料が安くなるケースがあるようです。(アメリカ)
  • 現地銀行口座の開設に必要な書類が、渡航直後はすぐに手に入らず困った。(アメリカ)
  • ファンド無しの修士課程での入学だったため、1年程SSN無しで生活していたが、免許の取得や口座開設等にいちいちwaiverを発行してもらわないといけず面倒だった。(アメリカ)
  • どこの銀行が良いかなどの情報が渡米前はなかなか手に入らず、とはいえ現地についてすぐ必要なため、ひとまずBank of Americaで開設したがChaseの方がリワードが大きいらしいだとか別のクレジットカードの方が得だというようなことを後から聞いた。自分で開設できるよう、口座の仕組みは事前に少し勉強しておくと良い。(アメリカ)
  • アメリカでのクレジットカードに関して、日本でアメリカ対応のクレジットカードを発行してから渡航しなければいけない、という記事を多く見る。しかし、それを忘れてしまっても、クレジットヒストリーがなくても取得できる「学生向けクレジットカード」を多くのアメリカの銀行が発行しているので、そちらもチェックしてみてもよいと思う。(アメリカ)
  • 詐欺被害などもあると聞く一方で、手数料を抑えながら信用できて使いやすい銀行探しが大変だった。ATMからキャッシュカードが出てこない等、機器トラブルもあり、日本のようには対応してもらえないので、本当にアカウントを一旦停止してもらえて不正に引き落とされていないか不安に襲われながら過ごした。インフレと円安の影響を受けてお金のやりくりが計画と大きく乖離してしまい、両替タイミングなどに神経をすり減らすことになった。(アメリカ)
  • 何気に困ったのは、Webサイトの2段階認証を日本のケータイの番号で登録していたことでした。銀行のワンタイムパスワード等もですが、アメリカへ行っても使えるように忘れずに変更しておいた方がいいと思います。(アメリカ)
  • 日本で複数のクレジットカードを使っていた場合は、学生カードの有効期限が切れて有料カードに自動切り替えになったりしないよう、使わないものは解約して整理してしまうと良い。 (アメリカ)
  • WISEに事前にドル建ての口座を作っておくと、デビットカードをすぐ使えるので安心(他の通貨しかなくても両替してくれるが)(アメリカ)
  • 渡航時は10日間のsimカードを日本から持っていき、渡航後落ち着いてからMint mobileで契約したが、simカード使用中に銀行口座開設等の手続きをしたため、携帯電話番号が変わってから全て変更するのは少し煩わしかった。(アメリカ)
    (編注) 携帯電話の記事も参照
  • 銀行口座の開設に一ヶ月以上かかり、BankIDなしには物事が全く進まない。物価が高く円安が響いた。National IDも取得に二週間ほどかかり、その後に携帯番号、BankID取得となる。この期間のストレスは半端なかった。(ノルウェー)
  • スウェーデンでは基本的に個人番号がないと銀行口座・カードが作れません。 個人番号が手に入るまで数ヶ月かかるのもザラなので、海外から使える国内の口座・カードを用意しておくことが必須です。(スウェーデン)
  • 入国後現地でのビザ取得のため、閉鎖口座(注3)等の開設などで所得証明を取得しておく必要がありどのようにすればよいか分からなかった。(ドイツ)
    (編注) ドイツではビザ取得のため閉鎖口座と呼ばれる特殊口座を現地銀行に作る必要がある場合あり。その場合渡航直前までに口座作成・送金を行っておく必要がある。

5. 参考サイト

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