海外留学中の結婚手続き・二体問題(北米中心)【XPLANE 現地生活ガイド】

本記事では、北米(アメリカ・カナダ)滞在中に結婚する場合の手続き・制度・名前変更・ビザ・研究者特有の二体問題(三体問題)に関わる実務的情報を整理します。XPLANE運営メンバーの個人的な体験談がベースになっており、最新の正確な情報については各自公式ホームページなどで確認されることをお勧めします。

どの国で結婚した場合でも、日本国籍者は必ず「日本への婚姻届」を提出する必要があります。それゆえ、海外留学中に結婚する場合、主に以下の3つの選択肢があります。

  • 留学先の国で留学先の国の形式で婚姻手続きをする(アメリカ/カナダ州政府 + 日本国大使館/領事館)
  • 留学先の国で日本の形式で婚姻手続きをする(日本国大使館/領事館)
  • 一時帰国時などに日本で婚姻手続きをする(日本国内の役場)*日本に在留届がなくても婚姻届は出せます

ここでは①と②の留学先国で婚姻手続きをする場合、特にアメリカのケースにフォーカスします。(※カナダはアメリカとほぼ同じ形式ですが、細かい点は異なる可能性があるのでご注意ください。)

目次

① アメリカ式で婚姻手続きをする(アメリカで先に婚姻→領事館へ報告)

アメリカ州政府で結婚手続きをする→「Marriage Certificate」を取得
領事館に「報告的婚姻届」を提出する → 本籍地に反映される

州ごとで一部異なる方式になると想定されますが、基本的には居住しているCity Hall(市役所)あるいはCounty Clerk/Office (郡役所)で婚姻を手続きできます。(City hallの場合)必要書類をCity Hallからもらい、それに沿って書類を作成します。ウェディングにこだわりがない場合はCity Hallで簡単な結婚式を予約して行うことができ、その後結婚証明書が発行されます。ただし、公証のサインが必要であり、数十ドルから数百ドルほどの費用がかかります。

必要書類の一つであるMarriage license(婚姻許可証)は、重婚等を防ぐためにあるようです(アメリカには戸籍のようなデータベースがないので)。州・郡によってlicenseの有効期限や、発行されたその日に婚姻手続きが可能かが異なるので要確認です。公証のサインはwedding officiant(婚姻公証人)によってなされる必要があります。公証人になる資格は裁判官、司祭・神父等宗教行事を執り行う権限を有する人をはじめofficiantのライセンスを有する人が持っており、好きなofficiantを選んで依頼します。州の方式で婚姻手続き後に、本籍地もしくは居住している地域にある日本総領事館へ婚姻手続きを行います。各総領事館に書類の詳細が記載されています。(参考:デンバー総領事館

婚姻手続きを行う際は、以下の書類が必要になります。

  • 婚姻届出書(日本の方式)
  • 州発行のMarriage Certificate
  • 上記結婚証明書の和訳文
  • 外国籍配偶者の国籍証明書(出生証明書、婚姻時・届出時に有効な旅券)
  • 上記国籍証明書の和訳文
  • 日本旅券及び米国滞在資格
  • 連絡確認表

婚姻手続きが完了後、本籍地のある日本の都道府県の市役所へ登録され、戸籍謄本へ追加されます。ただし外国籍のパートナーと婚姻した際は戸籍には配偶者として登録されるが、戸籍法上、外国籍の方は戸籍へは記載されないので、戸籍謄本などは日本籍の方のみ表記されます
なお、アメリカ国籍のパートナーと結婚した場合、このアメリカ式の婚姻方式で結婚した際は夫婦別姓の選択を取ることができます。

② 日本式で婚姻手続きをする(領事館で届出 → 婚姻成立)

アメリカでの法的婚姻手続きをせず、日本方式のみで婚姻を成立させる。
領事館に婚姻届を提出する→本籍地役所に送付される→受理されて婚姻成立、という流れ。

1. 提出先

お住まいの地域を管轄する在アメリカ日本国領事館または大使館に提出します。
※自分の地域の管轄先は以下で確認:住んでる場所によって、どこに提出できるかが変わるので注意しましょう(例えばペンシルベニア州に住んでいても、NYCの領事館に行く必要があるケースがあります)

在アメリカ日本国大使館・総領事館リスト: https://www.us.emb-japan.go.jp/itpr_ja/kankatsu.html

2. 提出できる人

婚姻届は本人または代理人が提出可能です。領事館によりますが、郵送でも可能です。

3. 必要書類(日本人同士の場合)

  • 婚姻届(2通): 日本の市役所と同じ様式。領事館のサイトからPDF入手可
  • 戸籍謄本(各自1通ずつ): 本籍地の市区町村役場から取得。3か月以内のもの
  • パスポートのコピー:両者分。顔写真のページなど指定あり
  • 滞在資格証明: ビザ、グリーンカード、学生証などのコピー
  • アメリカの結婚証明書(取得している場合): 任意。ただし「現地先行方式」で報告する場合は必要(詳細下記)
  • 署名証人欄(2名分): 婚姻届には成人2名の署名が必要。日本人でなくてもOK

4. 婚姻成立日について

日本の民法により、婚姻届が受理された日が婚姻成立日になります。アメリカで既に結婚していても、日本に届出しないと日本の戸籍には反映されませんので要注意です!

5. 提出方法

窓口提出:事前予約が必要なことが多いです。ウォークインは控えましょう。
郵送提出:事前に電話またはメールで確認し、必要書類を案内してもらうと安心です

6. 注意点

提出後、日本の本籍地の市町村に婚姻届が送られて正式に受理されます(数週間かかる場合あり)。受理後、新しい戸籍謄本を取得すると婚姻が確認できます。パスポートの名前を変える際などにも戸籍謄本が必要になるので、必ず取得しておきましょう。

①結婚に伴うグリーンカードの取得と保持について(配偶者がアメリカ国籍の場合)

学生ビザであるF-1ビザからグリーンカードへ申請する場合、資格変更のi-485 (Application to Register Permanent Residence or Adjust Status) とi-765 (Application for Employment Authorization)を提出する事になります。
また、これらの書類の他に以下が必要です。

  • パスポートのコピー
  • 直近5年間の渡航歴
  • 両親の名前、年齢、住所、出生地、等
  • 日本における最後の住所
  • 残高証明書、Bank Statements
  • 職務経歴(過去5年分だったと思います)
  • 出生証明書
  • 戸籍藤本(日本から取った原本)
  • 戸籍謄本の翻訳、公証が必要 
    *注意点:日本で取得した戸籍謄本とスタイル、デザイン、形式を全く同じ形で翻訳する必要がある(これに失敗してインタビューでやり直しと言われるケースがあるそう)
  • 過去のアメリカにおける確定申告のコピー
  • 申請料金

書類手続き後、指紋採取、Medical Check up(予防接種など色々チェックされる)、居住地から近いUSCISオフィスにおいてインタビューという形です。(筆者の場合、面接はなかなかの圧迫面接だった記憶があります)。

申請変更中はビザステータスが切り替えの状態になるので、渡航する際は一時出国する手続きが必要です。

学生ビザで米国市民・永住権者と婚約・結婚するときの注意事項

  • 学生ビザは「非移民ビザ(nonimmigrant intent)」なので、米国市民やグリーンカード保持者と婚約・結婚することは「nonimmigrant intent」と矛盾します(米国に住み続けるという意思表示)。
  • ずっと米国内にいる場合は関係ありませんが、一度米国外に出てから再入国するときに問題となり得ます。
    • 米国市民・永住権者のパートナー(婚姻ステータスに関係なく)と一緒に入国すると、本当は「immigrant intent」があるのに「非移民(学生)ビザ」を使って入国しようとしている、と審査官に判断されるリスクがあります。
    • 「アメリカ人の彼氏の家に滞在する」と入国時に審査官に伝えて入国拒否された学生ビザ保有者の事例があるそうです。
    • パートナーが永住権者で自分が学生ビザだったメンバーは、日本に一時帰国した際、移民弁護士のアドバイスのもと慎重を期して別日程で再入国したそうです。
  • 入国時に虚偽の申請をしたとする判断基準として、国務省(DOS)は2017年から「90日ルール(入国後90日以内に、入国時に示した意図と相反する行動を取った場合、自動的に「虚偽の申請をした」と判断する)」を採用しています(いつ変更されてもおかしくないので都度移民弁護士に確認が必要)
    • USCISは現在同ルールを厳密に運用はしていない(2021年にウェブページから記述を削除)ものの、一つの目安として、結婚やグリーンカードの申請(Adjustment of Status)といった手続きは、米国入国後90日以上空けるよう移民弁護士にアドバイスされました
    • 自分たちは再入国後4か月待って婚姻手続きを開始しました
    • 配偶者グリーンカードの手続き(Adjustment of status)も日本の戸籍に婚姻が反映されたのを確認してすぐ始めました(婚姻後も学生ビザのままでいると再入国時にトラブルになるリスクが上がる)

②名前変更を行う場合
(配偶者の方に合わせて名前変更が必要な場合/日本人同士の場合は必ず、国際結婚の場合は選択可能)

★名前変更の必要なもの(一例)

  1. パスポート
  2. I-20
  3. ソーシャルセキュリティーナンバー
  4. 運転免許
  5. 銀行口座
  6. クレジットカード
  7. マイレージアカウント等
  8. ビザ

①パスポート

一番重要であり、変更の為のすべての根幹となるため、一番最初に「どのタイミングで変えるか?」を考える必要があります。
今はオンラインで簡単にパスポートの申請が出来ますが、以前より時間がかかることとなっているはずなので、アメリカでの申請は注意が必要です。日本で申請する場合も約1か月の期間を想定することがオススメです。また、直近の戸籍謄本の原本が必要になりますので、もしアメリカで変更する場合は必ず取得して持って帰ってきましょう。

※タイミングは要注意(筆者経験談)

パスポートの苗字が変更された場合、なおかつビザの名前を変更したいと考えた際に、ビザは「更新」ではなく「再度一から申請」となります。ビザの名前を変更せずに、新旧のパスポート二冊+婚姻届け証書(原本と英語訳)を持ち歩くことで海外との行き来をすることも可能ですが(USCIS確認済み)、手間が増えるのは事実ですし、現在のビザの不安定な状況下の為、まだ学生でいる時間が長い場合は、ビザ自体の名前を変更することも考慮しても良いかと思います。

また、パスポートは旧姓併記か無しかを選ぶことが出来ます。筆者は旧姓のビザとの兼ね合いも考えて旧姓併記を選びましたが、旧姓併記のパスポートの場合、フライトチケットの取得やマイレージのアカウントなどが少々面倒くさいことになります。アメリカにはこの制度がないので、今私のアカウントは(名前+新姓+旧姓)という形になり、国際線のオンラインチェックインでパスポートの情報が正しく読み込まれなくなりました…。旧姓併記だと、どのように名前を記載するのかとかもSSN変えたりの時に聞かれますし、ちょっと面倒です…。

②I-20

大学によってどのように変更するかは違いがあると思われるため、必ず所属機関の情報を確認してください。ただ、基本的には大学のインターナショナルオフィスで新しい苗字のI-20を発行してもらう為にまずは大学への基本登録情報を変更するところからスタートすると思います。

【筆者の体験談】

まず、I-20を変更するために、大学のアカウント情報の変更の申請をするところからはじまりました。まずその為には婚姻届け(原本)とそれの英訳が必要でした。英訳は自分でつくって持っていきましたが、情報が瓜二つの状態(箇条書きなどではなく、フォーマット的にも対になるように)の形にし、なおかつ新しい名前と旧姓のパスポートをそれぞれ持参します。そこから、大学情報が変更されて初めてI-20の申請をするのですが、I-20申請も婚姻届けや新旧のパスポートが必要でした。

③SSN

こちらの変更の為には、州やご自身のお住いの場所によって違いがあるかもしれませんが、大まかな必要項目はSSNオフィスに記載があるため、必ず確認をしてください。
SSNを更新するためには、既に働いていたとしても最初にSSNを取得した時と同様に、現時点での就労許可の書類が必要となります。この書類についてはSSNの更新書類申請の中には記載が無かったので、確認をしたほうがよいかもしれません。
SSNのウェブサイトで名前変更の所からオンラインでアプリケーションを出したのち、ローカルのオフィスに行って手続きをします。その後、受理されれば1~2週間ほどで新しいものが届く形となります。

【その他用意したもの】

  • 新しいI-20
  • 新しい名前での就労許可(大学のInternational Officeからのもの)
  • そしてそのInternational Officeから書類を出してもらうために、Departmentからの就労許可の書類を先にInternational Officeに提出して、就労許可の書類を貰いました
  • 運転免許

運転免許には新しい名前でのSSNが必要になるため、注意が必要です。パスポート変更して持って行ったところ、必要書類には身分証明のどれか、という記載だったにも関わらずSSNも新しい名前で必要とのことだったので、全部上記を揃えてから行くことをお勧めします。
(※筆者は上記の情報にて問題ないと言われましたが、結果、新しい名前になったビザが無いとNGとのことでした…。なので、結果今も免許は更新できていません。運転免許はビザ、パスポート、SSNとすべてが揃って初めて手続き可能となるので、一番最後に対応することをお勧めします。)

⑤ 銀行口座

銀行口座の氏名変更は支店に行って、新しい名前のパスポートの提出のみで変更可能が可能でした。
ただし、口座と口座のキャッシュカードは連携していますが、そこにクレジットカードの機能がつくと、クレカは全くの別物として扱われるため下記項目を参照してください。

⑥クレジットカードの名前変更

まず、クレジットカードについては銀行の支店では対応してもらえません。
会社によって対応の仕方が違うため、まずはカスタマーサービスにて確認することをお勧めします。CHASEなどはオンラインでは対応が出来ず、まずカスタマーサービスに電話して、カスタマーサービスからその申請の為の書類を送ってもらう所からはじまりました。SSNなども必要になるので、上記申請開始とともに連絡して書類を送ってもらい、全部一通り変更が出来た後に送付することをお勧めします。

⑦マイレージアカウント

上記に付随して、エアラインに紐づいたアカウントを持っている場合などはチケットの名前やパスポートの名前がしっかり統一されていないとチケット購入の際に面倒なことになります。もしエアラインのマイレージアカウントを持っている方は気をつけましょう。

【筆者の体験談】
私はUnited(スターアライアンス)を多く使用しており、Unitedのマイレージアカウントを持っていたので、ウェブサイトの名前変更についての欄から詳細を入力すると、メールにて日本人の職員の方が対応してくださりました。
ただもう一つ面倒なのは、例えば私の場合はPAからNYにいって新しいパスポートを受け取ったのですが、行きは旧姓、でも帰りは新姓のパスポートしかないことになります。そのため、「どの名前でチケットをとればいいんだ!?」というジレンマに陥りました。
例えばリアルIDを持っている場合は、行き帰り旧姓のままでチケットを予約し、帰りはパスポートは新姓でも旧姓のリアルID付き免許証を見せればよい、という形で乗り切れるます。しかしパスポートしかない場合、安易にチケットを予約すると面倒なことになりますので、お気を付けください。飛行機を必要としない場所に領事館がある場合は、この心配は無用です。

⑧ビザ

パスポートの欄でも記載したように、ビザは、パスポート新旧二冊持ち+婚姻届け(原本と英訳)を持つことでビザの名前変更をしていなくても行き来は可能です。ただし、アメリカ領事館に確認したところ、パスポートの名前が変わっている場合は「取り直し」になるためまた新たにインタビューを受けなくてはいけないこと、また出来れば新しいものが望ましいとのことですので、タイミングを見て変更出来るのが良いと思います。

以上、手続きについて簡単にまとめました。
これに加えて、日本の免許証、銀行口座、クレカ、諸々のアカウントの変更が待っています。皆様、お名前変更のタイミングは慎重に、そして心折れないように頑張りましょう…。(筆者は籍を入れてから1年以上たってますがまだ終わってません)

結婚してから渡航する場合に使えるビザとして、配偶者ビザがあります。本記事のフォーカスから外れるので詳細は省きますが、以下のような制度です。

■ アメリカ

  • F2:F1ビザの配偶者(働けない・週20時間まで就学可)
  • J2:J1ビザの配偶者(働ける)
  • H4:H1Bビザの配偶者(就労可のケースあり)

■ カナダ

  • Open Work Permit(修士課程18か月未満は不可:※近年の制度変更)

【参考】政府情報:https://www.canada.ca/en/immigration-refugees-citizenship/services/study-canada/work/after-graduation/eligibility.html

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