GPA

GPA

1. GPAとは?

GPA (Grade point average)とは各科目の成績から算出された学生の成績評価値のことで、海外大学院出願の際に提出する必要があります。大学の成績を4(おおよそ90点以上、A)、3(80点以上、B)、2(70点以上、C)、1(60点以上、D)、0(60点未満、F)の5段階で評価するシステムが一般的です。各授業でこれらの点数がつけられ、最終的に大学所属期間中に取得した全ての成績を平均化したCumulative GPA

 
GPA = ∑(各授業の成績×単位数) / 総単位取得数

 

で計算されます。その学生の学部専攻での成績だけを数値化するために、一般教養科目(第二外国語など)の成績を除外し専攻科目の成績だけを用いて計算されたMajor GPAを出願の際に報告する場合もあります。

英文成績証明書(Transcript)は、通常は各大学が公式に発行したものをオンラインで提出した後、原本を郵送することになります。東工大などの一部を除く日本の多くの大学では、GPAではなく優・良・可・不可の4段階評価、letter grade(A,B,C,D,F)、得点率(0~100)などを成績評価システムとして取り入れており、出願校の求める評価方法への換算が必要となります。一般的にこれらの成績換算の方法は大学内で決められており、申請すれば自動で変換できるようになっているので大学の事務に問い合わせてみましょう。

Note: 上記のGPA変換方法(A=90点以上等)はアメリカで一般的に用いられている方法です。国や大学によって異なるので、自分の受験する大学や国のシステムを必ず把握してから正確な値を計算するようにしてください!

2. 合格に必要なGPA

GPAには、大学での4年間の努力が数字として表れます。例えばアメリカでは、大学院受験だけではなく就職活動の際にも企業側が成績を重視するため、学生は授業で良い成績が取れるように必死で努力します。故に、GPAはその過酷な環境の中どの程度勉学に励んだか、学問に興味があったのかなどを示す良い指標であり、将来の成功を占う重要な評価軸となります。もちろん大学や科目ごとに(特に海外では)高い成績評価をとるためのハードルは異なってくるのですが、どのような大学出身でも成績が高い生徒は評価される傾向があります。ここは日本と異なる点で、出身大学の知名度だけでなく、自分の所属する大学でどれだけ真剣に勉強に取り組んだのかを合わせて評価されます。

GPAが大学院出願の際に重要である理由の1つが、「GPAによる足切り」です。上位の大学院になるほど出願書類提出時のGPAの最低ラインを具体的に設定している傾向があり、よくある足きりとしては最終学歴におけるGPAが2.5から3.0以上というものがあります。これは単に足切りの点数であって、実際の合格者の平均GPAはさらに高くなります。例えばHarvard Universityの工学系大学院では、合格者の平均GPAが3.8以上と公開されています。

では、実際に海外大学院に進学した日本人留学生はどの程度の成績を収めて合格を勝ち取ったのでしょうか。現在海外の大学院で勉学に励む日本人留学生100名程にアンケートを取り、彼らの大学院出願時のGPA分布を下のグラフにまとめました。全体の約80%が3.5以上のGPAで受験に挑んでいたことがわかります。足切りライン付近の3点台前半でも合格を勝ち取っている学生もいますが、やはりGPAは高いに越したことはありません。

3. 攻略

「いつか海外大学院に進学したい!」、もしくは既に出願を控え「GPAをもっと上げたい…」と悩む受験生のために、ここではGPAの攻略方法をいくつか紹介します。

(1) しっかり勉強する

残念ながらGPAを上げる簡単な方法はなく、GPAはTOEFLやGREのようなテストとは異なり短期間で対策することが困難です。むしろその難しさが、GPAが大学院受験生の評価に用いられている理由の1つであり、先にあるゴールを見据え長期間努力し続けることがGPAを上げる唯一の正攻法です。もし海外大学院受験を検討しているのであれば、思い立ったその瞬間から大学生活で良い成績を修められるように努力を始めましょう。海外大学院進学を見据えた授業の受け方のテクニックとして、例えば「積極的に質問する」ということが挙げられます。日本の大学ではあまり見慣れない光景ですが、授業中もしくは後に教授に質問をすることを習慣化するとよいでしょう。質問を考えながら能動的に授業を聞くことで理解が深まり良い成績を収める可能性が上がるだけではなく、その教授に自分のことを学習意欲のある生徒として印象付けることで後の研究室配属、さらには推薦状といった大学院出願に必要なその他の書類の準備に役立つことも大いにあります。

(2) 出願時に弁明する(特別な事情の場合)

多くの大学院の出願プロセスで、やむを得ない事情があって成績が低い場合にそれを記す項目が設けられています。自分に選択肢がない特別な事情、例えば、親族の不幸、病気、災害等といった理由で満足に講義を受けられず一時的に成績が低くなってしまった場合は、その理由を詳細に述べるとよいでしょう。ただし、サークル活動やアルバイトで忙しい、といった自分に裁量のある事情はこれに該当しないので注意が必要です。

(3) GREで挽回する

「出願を間近に控えているけど、GPAが低い…」という場合はどうしたらよいでしょうか?対策の1つとして、GREのスコアで挽回するという手があります。GPAに限らず、GREのような共通試験も学問への興味や努力を表す指標です。大学の成績は重要な評価軸であるものの、その基準は各校や授業によって異なります。その点、全世界共通試験であるGREは学生の通う大学に左右されず純粋にスコアの良し悪しが評価の基準となります。GRE generalやsubjectで好成績を収めることができれば、「優秀で努力もしているが成績評価が厳しい大学にいたのかも…」と思わせることも可能かもしれません。ただしこれはあくまで出願者の印象を良くする程度の付け焼き刃な策なので、手遅れになる前に出来るだけ早めにGPAを上げておくこと意識しましょう。

(4) 専門科目に注力する

大学に入学した当初は自分が何を勉強したいのかはっきりとは定まっていなかったり、受験のストレスから解放されて遊ぶことに夢中になってしまったりと、勉学が疎かになってしまった人もいるかもしれません。もしくは自分の学びたい専門の授業ではなく大学から必修科目として課される一般教養の授業で意欲が湧かず悪い成績をとってしまった、といったこともあるでしょう。それは大学院側も理解しており、評価の際に特に重視するのは大学1-2年時の一般教養科目(第二外国語など)の成績ではなく、その学部の専攻に関わる科目の成績と言われています。エッセイ等で「私のGPAの変遷にも表れているように、専門科目の講義を受け始めてから自分が本当に興味のあることの勉強に没頭することができた。」といったストーリーを作成して補足するのも良いアイディアです。

(5) 修士課程で成績を上書きする(博士課程進学を目指す場合)

博士号取得を視野に入れているのであれば、日本でまず修士課程に進学しそこで良い成績を収めるという手もあります。修士号を既に取得している場合、海外博士課程出願時には学部時のものに加えその修士時のGPAも提出することが求められます。修士課程では学部よりさらに高レベルかつ専門性の高い授業が展開され、ここで良いGPAを記録することで、博士課程に進学しても授業についていく能力があることを直接示すことができます。GPAに関してだけでなく、修士を経ることで自身の研究業績をより積み重ねることができたり、ネットワークが広がり良い推薦状をもらえる可能性が上がるといったメリットも考えられます。学部時の研究成果や成績だけでは不安・満足できないという学生にとって、修士課程を経てから海外大学院受験に挑戦するというキャリアパスは合格の可能性を上げる一手かもしれません。

 

下の図にある様に渡米のタイミングに関してのアンケート結果を見ると、実際に海外大学院に進学した日本人学生の1/3以上は日本で修士号を取得してから海外博士課程に挑戦したということがわかります。

ここでは、GPAとは何か、海外大学院出願書類としての立ち位置、重要性、先輩達のGPA分布などを紹介しました。大学で良い成績を収めるには、長期的な視野を持って真面目にコツコツ勉強することが1番の近道です。GPAはその計算方法から一度下がってしまうと再び上げることが非常に困難です。高いGPAをできるだけ維持できる様に頑張りましょう!