引っ越し関連(転出・年金・保険・マイナンバー)【渡航ガイド】
(2023年4月時点での情報です。制度の詳細などは変更の可能性があり、それぞれの方で事情が異なりますので、
必ず本ページだけでなく、政府や自治体の公的なホームページを参照してください)
海外転出においてのオプション
【パターン1】 海外転出手続きを行うことで日本国内の居住者資格を停止する = 年金・保険・マイナンバーを停止する
【パターン2:】海外転出手続きを行わず、日本国内の居住資格はそのままとする = 年金・保険・マイナンバーはそのままにして支払いを続ける
の2パターンがあります。
1年以上の海外渡航の場合には、留学前に住んでいる市区町村役所に海外転出届を提出する(パターン1)というのが多くの自治体の原則ですが、一方で、日本企業からの派遣留学や交換留学・Visiting Scholarなどの場合は住民票をそのままにする(パターン2)ことも多いかと思います。
海外転出手続きとは = 住民票を「抜く」手続き
日本国内において住所を変更する場合に行う転出手続き&転入手続きと同様に、日本国外に転出する際にも転出手続きが必要になります。国内での転出と違い、国外に出る際にはそれに伴って税金・年金・保険など居住にかかわる金銭面での手続きが同時に発生します。これらを全て終わらせることで、帰国時にスムーズに転入することが可能です。国外転出の日から概ね2週間前〜当日までの間に届出を行います。
基本的に1年未満の国外滞在については、2023年春現在は一時的な滞在と認識されるため、国外転出手続きは必須ではありませんが、1年以上の方は必ず確認しましょう。
海外在留届とは
上記の手続きとは別に、3か月以上の国外滞在が決まっている際には必ず外務省の提供する在留届に登録しましょう。
海外在住中の選挙に関してや、何か事件や事故・災害に巻き込まれた可能性がある際の身元確認など、重要な情報提供を受けやすくなります。
1. 海外転出届を提出する場合
年金
- 基本的に海外転出届を提出した時点で年金制度への加入義務はなくなりますが、任意で加入することは可能です。
→障害年金の受給資格なども考え、そのまま任意加入している方も多いようですので、受給資格も合わせて確認することをお勧めいたします。 - 任意加入の場合、学生納付特例制度は使用できなくなるため注意が必要です。
- 留学中に加入しない場合、年金受給資格については確認が必要です(現在対象加入期間が変動しており、その対象加入期間を満たさないと年金受給資格などが貰えなくなっています。特に、社会人留学でそれまで厚生年金を支払っていた場合には注意が必要です)。
- 国民年金には追納制度があるため、帰国後に留学中に加入していなかった期間分の保険料を追納することで、後に受け取る年金額を増やすこともできます。
国民健康保険
- 海外転出届を提出すると、国民健康保険は脱退扱いとなり、保険料の支払い義務もなくなります。
【日本に一時帰国した時の保険はどうする?】
- 健康保険の短期再加入
日本に帰ってきた際に役所に行って転入届を出すことで、すぐに再加入することは可能です。ただし、市区町村によっては一時帰国時の国民健康保険の再加入を認めていないケースも多い(例: 3ヶ月以上滞在する場合可能、再転出の予定がない場合のみ可能、など)ため、事前の確認をお勧めいたします。
- 保険なしで過ごす
保険なしで過ごすアメリカなど一部の国では医療保険未加入で手術を受けると何百万の請求額になることもありますが、日本での軽度の診療であれば、医療保険未加入で全額負担になったとしても数万円~数十万円におさまることが多いと考えられます。ただし、重篤な感染症に罹患した場合や不慮の事故で大きな手術をした場合など、予期せず高額な医療費を払わなければならないケースもありえるため、自身の持病・健康状態や滞在日数などをよく加味して判断することをお勧めいたします。
- 留学・海外旅行保険についている一時帰国特約でのカバー
留学・海外旅行保険の一部には一時帰国期間の医療費をカバーする内容がついているものもあります。ただし、全ての留学・海外保険についているわけではないので保険内容をよく確認されることをお勧めいたします。
マイナンバーカード
海外転出すると、マイナンバーカードは返納となります(カード自体は手元に残りますが、使用不可という形になります)。これによってできなくなる以下のことを確認しておきましょう。
- ポイントの使用
- マイナンバーを使っての登録
筆者出国時(2022年秋)だと、ワクチン接種のアプリの内容更新などは全てマイナンバーの元に行っていたので、そちらの更新が出来なくなります。ダウンロードし、内容を全てスクショ・PDF保存などをかけてからマイナンバーの返納を行いました。2023年春現在で、アプリに登録した内容を使用することは全く問題ありません。 - Wiseの口座開設/NISA
【2024年5月から海外でのマイナンバー保持が可能に!】
マイナンバーカードの健康保険証との一本化に先立ち、2024年5月から海外在住の日本人もマイナンバーカードの取得が可能になる予定です。これにより、海外転出の際のマイナンバーカード返納が不要になると同時に、既に海外在住の日本人も日本国内でマイナンバーカードの申請が行えるようになります。
参考: https://www.yomiuri.co.jp/economy/20221206-OYT1T50352/
住民税の支払い•委任手続き(収入がある方向け)
【留学開始年度の住民税】
特に社会人の方で12月より前に退職する方は企業での源泉徴収が受けられないため、個々人での確定申告や、住民税の特別徴収から普通徴収への切り替えが必要になります。
- 特別徴収と普通徴収とは?
通常は住民税を支払う際に個々人で払うのが一般的な普通徴収と呼ばれるもので、年金と同様ご自宅にコンビニで支払える支払い通知が送付されてきます。企業に属することで会社がその住民税の支払いを給与から天引きする形で12か月に分けて支払いをおこなってくれる形が特別徴収です。企業から退職するとその対応をしてもらえなくなるので、まだ支払いが終わってない分をご自身で支払うことになります。
- 退職後すぐに転出する場合はどうすればいい?
通常、税金の支払いに関しては全ての給与支払いが終わったあとでないと行えないのが通常です。有休消化中などに出国を考えている方などは手続きが間に合わない形となりますので、その際には信用できる方への委任手続きが必要となります。
1. 企業からの源泉徴収や税金手続きの書類
2. 委任状(納付先の役所のもの)
にサインをし、対応してくださる方のサインも含めて役所に提出(送付も可)します。
上記の手続きはそこまで変わらないとは思いますが、送付で対応してくれるのか、実際に委任状と共に赴く必要があるのかなど、それぞれの役所によって異なる点もあるので電話などで事前に確認しましょう。
(筆者の場合は実家と勤務地が違ったため、全て郵便送付にて行いました)
【次年度の住民税】
基本的に住民税はその年の1月1日に帰属する市町村へ前年度収入をベースに支払い義務が発生します。そのため、1月1日に日本国内に居住が確認されない場合は住民税は発生しません。
在外選挙人登録
- 海外在住の日本人も、国政選挙に投票することができます。転出手続きと同時に在外選挙人名簿登録を行うか、引越しが住んでから海外の在外公館で申請することができます。
- 国内に住民票がある場合は登録できませんのでお気を付けください。
- 参考リンク: https://www.mofa.go.jp/mofaj/toko/senkyo/index.html
帰国時の手続き
本帰国時は、基本的にパスポート、戸籍抄本、免許証などのIDを持参しましょう。一旦使用不可となっているマイナンバーカードも持参が必要になります。
【体験談】転出届を出して大変だったこと
- 国際送金サービスWiseのアカウント作成時にマイナンバーが無いといけない。
- 確定申告時の納税管理人の指名が出来ない。
- NISA、IDECO、つみたてNISA、やオンラインバンクなどはご本人の国内居住が必要事項となっている場合があります。ご自身の使用している証券会社さんが海外居住でも可能なのかは要確認をおすすめします。
→筆者は楽天のつみたてNISAを使ってましたが凍結・又は解約が必要でした。 - 各種アプリの更新が出来なくなる(マイナンバー連携型のもの)
→転出手続き前に済ませておくことがおすすめです。 - 免許更新も住民票を抜く前に済ませておくことをおすすめです。→https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/menkyo/kaigai_tokurei.html
2. 海外転出届を提出しない場合
- 基本的に住民票をそのままにしておくのであれば特にこれと言って大きく対応すべきことはありませんが、住民税、健康保険料、年金全てにおいて「支払いを続ける」ということが何より必要となります。
- 支払い続ける場合は代理人にお願いして支払いを行ってもらう形となりますので、ご自身の銀行口座の情報など伝えることも含めて信頼できる方にお願いすることをおすすめします。