部屋探し【渡航ガイド】
(2023年6月時点での情報です。本ページだけでなく、各大学などのホームページも必ず参照してください)
1. 「部屋探しは早ければ早い方が良い」理由とは?
大学によって受入時期が変わりますが、例えば米国大学では通年を通して8月の入学がボリュームが大きい時期となります。学生寮などは特にその時期に入学する学生が合格通知を受け取る春先に一気に埋まっていきますので、合格通知を受け取ったらどこの大学に行くのかを悩むのと同時にある程度「どんな住まいがあるのか?」についても参考にしてみることをおすすめします。
※修士・博士・行く国や大学によってその込み合う時期などは変わるため、既に留学中の先輩などがいれば直接聞いてみるのが良いでしょう。
2. 住居の場所
オンキャンパス(On Campus)アパートメント
- 大きな大学だとキャンパス内に学生寮がある場合が多くあります。ただし、学部生と院生(又は客員教授)等、対象者が違うアパートメントがあるかどうかで住み心地はかなり変わってきます。
大学によっては、家族寮や大学院生向けの1人部屋の寮が専用で用意されている場合もあるので、家族連れの方などは確認してみると、一般のアパートを使うよりも金額を抑えられるかもしれません。 - 学部生と共通の寮の場合は、シェアアパートメントタイプ(部屋がいくつか分かれておりトイレバスが共用)が多いです。学部生と部屋をシェアをする場合、少し(状況によってはかなり)騒がしいことが予想されるので、もし大学院生や教員向けのアパートメントがある場合はそちらもお勧めです。
- 寮には、「規定のタイミングまで入居できない」や「夏のセメスターを履修していないと使用できない」など、入居に制約がある場合があるので要確認です。また、オンキャンパスは早めに入居が決まってしまい部屋がなくなる可能性があるので、動き出しのタイミングに気をつけましょう。
オフキャンパス(Off Campus)アパートメント
- 大学のすぐ近くのエリアには、学生向けに様々なタイプのアパートメントがある場合が多いです。この場合はシェアルーム、又は個人用のお部屋など金額によってバラエティがあります。
- オンキャンパスのアパートと異なり、オフキャンパスのアパートでは、どのような手段でキャンパスまで行くことになるかを一緒に調べておくのが大事です。交通の便(車の有無やシャトルバス)は重視して場所を選ぶことをおすすめします。
- オフキャンパスでも、大学提携のアパートメントの場合、大学へ行けるシャトルバスなどが循環していたり、公共のバスを無料で使用できたりなどの利点がある場合もあります。
シェアルーム、ガーデン(in law)アパートメント
個人の大家さん(landroad)が余った部屋を貸し出していたり、学生たちが一戸建ての家を借り上げてその中で部屋をシェアしている場合があります。
大家さんが居る場合は、しっかりコミュニケーションを取って対応してもらえるか、最初のメッセージなどや内見時の様子なども含めてよく確認しながら入居手続きを進めることをお勧めします。
また、学生たちの戸建ての場合はグループで住んでいる場合もあるため、先にどのような人たちが住んでいるのか(ペットの有無、騒音等も)をしっかり事前に確認してから契約を進めましょう。
3. アパートのタイプ
家具付き(Furnished) / 家具なし(Unfurnished)
家具付き(Furnished)タイプ
日本だとまだまだ珍しいかもしれませんが、海外の寮ではベッド、テーブル、冷蔵庫、オーブンなど、家具家電がある程度既に備え付けのところも多くあります。
ただ、どの家具が付いているかは場所によってばらつきがある(ベッドがあったりなかったり、レンジがあったりなかったり)ため、何が含まれているかをしっかり確認することをお勧めします。また、費用的には1か月あたり家具なしの家よりも割高になることが多いです。
修士課程など、1~2年の留学でまた日本に帰る予定などであれば、家具付きで初期費用を抑えるのも考慮にいれる価値があるでしょう。
家具なし(Unfurnished)タイプ
こちらは部屋のみで家具のないタイプです。家具なしの場合、入居してすぐに必要な家具(ベッドなど)もない場合が多いので、先にAmazonで注文しておくなど、スムーズに入居が始められるように準備しておくのが良いでしょう。
一方で、unfurnished とはいえ日本とは違い最低限の家電(冷蔵庫、オーブン、洗濯機)がついているパターンもあります、国、地域や物件のタイプによって違うので、そちらもよく確認しましょう。
また、例えばアメリカなどは間接照明の文化なので、日本と違って部屋に備え付けの電気がついていないことも多いです。最初から勉強用のランプや間接照明の購入を念頭に入れて部屋を選んだり、実際に照明がどうなっているのか等を先に確認しておくと到着後の生活がスムーズに始められるでしょう。
部屋数
Studio apartment
Studioは日本のワンルームのイメージです。部屋の区切りなく、キッチンがついたお部屋が多い印象です。
1 Bedroom
1Bedroomは名前の通り、リビングルームの他にもう一つベッドルームとして使える部屋がある形です。
浴室の数と合わせて「m Bed n Bath」のような表記がされることもよくあります。
シェアルーム
相場よりも遥かに安い金額が出てきたりする場合、シェアの金額が表記されている(2人で共有して住む前提で、1人分の家賃が表示されているなど)ことも多いです。しっかり間取りを確認しましょう。
サブリース (Sublease)
海外では、しばらく家を空けるときに「契約を切らないでそのままにしておきたいけど家賃は払いたくない」という理由から、期間を決めてサブリース(部屋の又貸し)を募集していることが多くあります。短期でインターンシップ等で滞在する場合には有効です。
4. その他の注意点
ライフライン (utility)の契約が家賃に既に含まれているか?
毎月の家賃に水道、電気、ガス、Wi-Fiなどの料金(アメリカでは’utility fee’という言葉がよく使われます)が含まれているかどうかは物件によって様々です。一見安そうな物件に見えても、これらを全て自分で支払うため、実際は表示より数百ドル以上高くなる、ということもあります。
また、海外のライフラインの契約は、渡航当初で英語力に不安がある場合はかなり最初はハードルが高いです。筆者はそれもあったため、寮やオフキャンパスアパートメント等、電気、ガス、水道、Wi-Fiなどが全て備わっている物件を選び、これらの費用も家賃に既に含まれているものを選んで、引っ越しした瞬間からすべてを使える環境にしていました。しかし、特にUnfurnishedや戸建てを検討する場合は、ライフラインを全て自身で契約(火災保険なども)する必要がある場合もあるので、しっかりとどのような契約形態になっているのかも調べてから契約をしましょう。
また、同様に車を持っていて駐車場が必要な場合にパーキングの料金が含まれるか/月々別で支払う必要があるのか、ペットを飼うことが可能か(別料金になることも)、保険をつける必要があるか(Renters’ insurance, 家財保険)なども物件によって異なります。必ず事前に確認しましょう。
安全面・交通アクセスの確認
大学院生は往々にして、夜遅くまで研究でキャンパスに居たり授業があったりということがあります。夜の時間の交通手段やアパートの近くの環境はしっかりと確認しておきましょう。「夜になるとバスがない!」と言ったこともあり得ますので要注意です。地図で見るよりも遠い、ということもよくあるので確認が必要です。
家族向けのアパート、大学院生専用のアパートはある?
大学院生の生活は学部生との生活はかなり生活リズムや厳しさも違うので、静かな物件を選びたいものですよね。
家族連れで住めるオンキャンパスアパートメントや、大学院生専用のアパート/寮などがある大学も多いです。家族連れの場合は部屋数が多い物件、周りに子供が遊べるスペースを併設している物件もしばしばあるので、まずは大学に問い合わせてみることをお勧めします。また、大学によっては家族連れの大学院生に対して家賃のサポートなどを提供している場合もあるので、大学側のリソースもチェックしましょう。
5. 家賃について
そのエリアの相場をまず知る
上記でもお伝えした通り、まずはネットなどで1ルームあたりの金額をいくつか見て確認しましょう。
家賃相場を調べるのに役立つサイトの例: RentCafe、Apartments.com、Zillow、Craigslist
安い物件には安い理由がある
海外のホテルに宿泊した方はイメージが湧くかもしれませんが、日本と違って最低限のハードルはかなり低いです。「ある程度の金額で安全を買う」という認識で、オートロックの物件を選んだり、キャンパスに近い所を選んだり、人通りの多い所を選ぶなど、治安についてはしっかりと確認をしましょう。並びに、例えばセキュリティがしっかりしていなかったり、危険なエリアだったりなど、安い場所には安いなりの理由があります。後悔しないようにしっかりと口コミを見るのに加え、住んでいる方々の意見も可能なら聞いてしっかりリサーチをすることをお勧めします。
エリアの治安を調べるのに役立つサイトの例: SpotCrime、Crimemapping
(その他、アメリカでは政府のホームページで性犯罪者が住んでいるエリアを調べられるサイトがあります)
可能な限り、内見をして決める
特にアメリカの場合、オンラインベースでできる家探しには限界があります。また、Webサイトに載っている家の写真や情報が、現実と大きく異なっていることもあります。渡航のタイミング次第では非常に難しいですが、可能なら現地に行って、住む家については自分の目で見て決めるのが理想的です。また、筆者の経験上、メールを送っていても返事が全く来ない物件、電話でのやり取りを好む大家さんは非常に多く、現地で使える電話番号を得てからの方が家探しはスムーズです。
年収、クレジットヒストリー、保証人が必要なことも
オフキャンパスでアパートを契約する場合、物件によっては収入の制約(家賃の3倍の月収がないとだめ、など)、クレジットスコアの制約があったり、保証人 (co-signer, reference)を用意するよう求められることもあります。特にタウンハウス(学生寮が少ないエリア)では契約をするのに最低限の収入証明や必要事項が学生向けのアパートより厳しい場合があります。また、保証人の方は、SNSを持っている方などの制約がある場合が多いですが、民間で代行してもらえるパターンなどもあるようです。いずれにしても、早い時期から動き出すのが安全です。
特に、外国人学生に家を貸すのに抵抗があるという大家さんも多く、そのような場合はこれらのような信用や保証人の制約が厳しくなることがあるのも知っておくべきでしょう。
6. 家探しはどこでやる?
- 大学のキャリアセンターや担当者にお願いして大学の配信している情報をシェアしてもらう(大学にオン/オフキャンパスのアパート探し専門のページが設けられていることも)
- Facebookなど、SNSでサブリースや物件情報がシェアされているものを利用する
- その地域のアパートメントのウェブサイト(口コミつきのものも)
と言ったところで物件を探すことができます。
大学によってオンキャンパスアパートメントの場所によって集うコミュニティや住んでる学生の学年が違うパターンもあるため、いろいろな情報を探してみましょう。
さらに、家探しの前後は架空の部屋の契約を迫る詐欺などが増える時期でもあります。例えば公式のHPなのか、信頼できるソースなのか、内見が出来るのかなども含めてしっかりと確認し、大学のHPからの案内や現地に居る方に相談するなどしっかりと確認することをおすすめします。
7. ルームメイトってぶっちゃけどう?
必ず問題が起こるわけではありませんが、騒音、生活リズムの違い、清潔観の違いなどが原因でトラブルが発生することは少なくありません。最初の顔合わせの段階で気づくのは難しいです。寮などでは最初にアグリーメント(家の使い方の事前取り決め)を作る場合もありますが、特に文化の違いや年齢の違いなどによって問題はしばしば生じます。後から後悔しないためにも、問題となりやすい典型的なことを挙げておきたいと思います。
- 騒音、生活時間の違い、友人/恋人を家に連れてくるのがOKか否か等
→やはり学部生の皆さんは飲み会があったり、友達を連れてきたり、試験期間でも楽しそうにパーティをしてたりと中々生活リズムや時間帯が違ったりします。また、気にせず音楽を聴いたり、電話で喋ったりはありますので、騒音が苦手な方はもしかすると一人暮らしの方が気が楽かもしれません…。 - クーラーの温度
→ 建物で一括管理の場合も多く、日本人にとっては極寒なことも多いです。 - 清潔観念
→ どうやったらそんな汚くできるのか分からない、という位のパターンも。風呂やトイレなどが共用の場合には、少し苦労することがあるかもしれません。(筆者も、他の人が放置するためいつも片づけたりゴミを出したりしていました) - そもそも家の中で靴をはく文化
→自分の個人部屋だけは綺麗に保ちたい、位のつもりで、共用部は靴をはいたままなことを受け入れた方が気持ち的に良いかもしれません。 - 私物と共有物の線引き
→名前を書いたりしていても冷蔵庫のものがなくなってたりします。節度のある学生さんもいますが、先に話し合うことが良いでしょう。又は、キッチン用品なども同様です。
勿論「郷に入らば郷に従え」という意識が大事なことをも多いですが、文化的な共通点が比較的多い出身の人と住む、あるいはその土地に慣れて少ししてから仲の良い友達たちと一緒にルームシェアをする、というのが一番安全かと思います。後から後悔しないためにも、先に確認を行っておき、もし問題が起きた場合も、嫌なことは嫌だとはっきり伝えて話し合いましょう。
8. 入居するときの注意点
- 後々自分が請求されることになるため、部屋の中のチェックは入念に行いましょう。全て写真に収めて、しっかりと確認することが大事です。日本で物件を借りる際も同様ですが、海外は更に厳しいこともあります。
- 家具付きの場合ではなくても、家電がついている物件も多くあります。水回りや家電が壊れたときにどこに連絡すればいいのか、また担当の人がいつ休みなのかは最初に確認しておくと良いです。
- 物が壊れた際、日本のようにすぐに故障や交換の対応をしてくれるとは限らないので念頭に入れておきましょう。
- 入居する際に敷金のような形で、2か月分の家賃を支払う必要がある場合もあります(例: 最初の家賃と最後の月の家賃を2ヶ月分払う、最初の月の家賃に加えてデポジットとして1ヶ月分払い、デポジットからクリーニング代を引いた分が退去後に返却される、など)。どのように家賃を支払うのか(小切手、振り込みなど)も要確認です。
多くの大学では学生向けに法律関係の相談ができるStudent Legal Services Officeがあり、場合によっては賃貸契約の書類を一緒にレビューしてくれて、おかしなところがないか確認してくれることもあります。このようなリソースも使えると安心でしょう。