面接
海外大学院の出願において、面接は合否を左右する重要なプロセスの一つです。特に近年はオンラインでの実施が一般的になっており、形式や求められる準備にも変化が見られます。本記事では、最新の最新の面接事情を踏まえながら、形式や質問内容、効果的な準備方法についてまとめました。
★面接の形式とスタイル
出願先によって形式は異なりますが、主に以下のようなスタイルが取られます。
- 個別面接:志望する教授と1対1で行われることが多く、特に出願書類で指名した教授が面接官となることが多いです。15分程度で終わることもあれば、1時間ほどしっかりディスカッションするケースもあります。
- パネル面接:複数の教員(3~4人)との面接です。これまでの研究経験を発表し質疑応答を受ける形式、スライド発表などはなく口頭試問のようにひたすら知識を確認や研究経験の質問に応え続ける形式や、指定された論文を読んでそれについてのディスカッションをする(いわゆるジャーナルクラブ)形式などあります。教授がラボメンバーを数人連れてくることもあります。こちらも短ければ15分程度ですが、30分ほどの長めのものこともあります。進行役の司会がいることもあります。
- 研究室メンバーとのグループ面接:ラボの全員と対話する形式で、実際のラボの雰囲気を体験できる良い機会でもあります。こちらの場合ラボの規模にもよりますが、一人一人と話していくことになるので、数時間から半日かかる場合があります。
近年では、Zoom などを用いたオンライン面接が主流です。時差が考慮されずに深夜に面接の時間が設定されることもありますが、面接担当に相談することで良心的な時間に変更できることもあります。また、正式な面接とは別に、出願前にカジュアルなミーティングが設定されることもあります。内容は「雑談中心」「学生が会話をリード」「教授が一方的に話す」と多岐に渡り、この時点で志願者の印象が形成される場合もあるため注意が必要です。
★面接の内容:研究に関する話題・モチベーションが中心
上述の通り、自身のこれまでの研究内容やこれからやりたい研究の方向性を説明し、教授からは今後の研究プロジェクトの話がされることが多いです。研究全般の内容についての質問は当然たくさん聞かれるため、何を聞かれても答えられるように準備しておきましょう。
特に専門分野を変える場合や、より深い議論が期待されるケースでは、口頭試問的な教科書の知識確認が含まれることもあります。面接は「学生の採用」というよりも、「どれだけラボに貢献できる人材か」という視点で行われる傾向が強いこともあるため、自分の存在価値や熱意をどう伝えるかが重要です。また、自分の次の研究の興味と志望先の研究室の目指す方向がいかにマッチしているのか、なぜその研究を強くやりたいのか、というモチベーションも非常に重視されます。アピールの戦略をあらかじめ英語で準備しておきましょう。
★研究以外の質問:ソフトスキルや価値観を問われることも
研究内容に加えて、以下のようなソフトスキルやパーソナリティに関する質問がされることもあります。
- どのような研究環境を好むか?
- 指導スタイルの好み(ハンズオン vs ハンズオフ)
- チームでの働き方や困難を乗り越えた経験
- 卒業後のキャリアプランと、その志望理由
- どのようなワークスタイルが好きか?
- 解析と実験はどれくらいの割合でやってみたいか?
- 最近読んで面白いと思った論文は何か?
志願者の人となりを知るために、チームワーク、リーダーシップ、問題解決能力など、研究や学業に不可欠なスキルも実際に見られます。また、自分の価値観やきちんと自分の軸や夢を持った上でPhDを志しているかどうかが問われます。幅広くしっかり準備しましょう。
★面接準備でしておきたいこと
- 自分の研究内容を簡潔に説明するスライドの準備(必要な場合)
- 想定される質問への回答を練習
- 面接官への逆質問の準備(後述)
- 稀に、自己紹介用の3分間のビデオ提出を面接前に求められることもあります
YouTubeなどで、英語でのQ&Aや自己紹介の例を確認するのも効果的です。特に内容だけでなく、「どのように伝えるか」を慣らすことが鍵になります。
★オンライン面接ならではのポイント
コロナ禍以降、オンラインでの面接が増えています。そのため、カメラ映えする服装、背景設定、インターネット接続の確認、視線の位置や声のトーンといったオンライン特有のポイントを追加すると良いかもしれません。時々喋りたい内容をポストイットなどにしてたり画面に表示してたりする方もいらっしゃいますが、目の動きでわかってしまうことも多いのでお勧めしません。
★面接官への逆質問の準備
大学院の面接では、志願者が面接官に質問する機会が与えられることが一般的です。特に面接の最後に「何か質問はありますか?」と聞かれることが多いです。このときに「特にありません」と答えるのはNG。以下のような質問が効果的です。
- プログラムの特徴や卒業後の進路
- 教授の研究について掘り下げる質問
- 自分の興味や目標に関連した質問。自分の研究テーマやキャリアプランを含めて、「自分の目標にこのプログラムがどう役立つか」を掘り下げる質問はgoodです。例「○○というテーマに興味がありますが、このプログラムでは関連するプロジェクトやサポートはありますか?」
- 指導スタイル、ワークフロー、コラボレーションに関する事。例えば、Hands-onなのかHands-offなのか、研究の進め方やAdvisingに関する事など。
- 学際的分野であれば、手法や理論的なアプローチへの質問も有効(教授が同じ分野のバックグラウンドを持っているとは限らないので)
面接先を志望先として真剣に考えていることをアピールするためにも、逆質問は十分に用意しておきましょう。
★面接での「ディスカッション」対策
面接がただの質疑応答で終わらず、研究テーマについてのディスカッションに発展することもよくあります。このような場面では、以下のポイントを押さえておくと良いでしょう。
- 研究室の最近のトレンドやビジョンの把握:面接前には、研究室の現在のビジョンや研究の方向性を調べ、自分の関心とどのように重なるかを明確にしておくことが大切です。教授の最近の研究やプロジェクトを事前に把握しておくことで、勤勉さを示すとともに、効果的なアピールにつながります。
- 興味のある研究テーマを具体的に語れる準備:やはりやる気のある学生を取りたいと思うのが常ですが,闇雲に勤勉でやる気があると言葉にするだけではあまり良い印象は残せません。できるだけ具体的にどういったテーマがしたいのか、どういった既存研究を面白いと思ったかを伝えられることで、勤勉さとやる気をアピールしましょう。
- 自分のオリジナルなアイデアや視点:入学時点で明確で素晴らしい新規性を提案するのは難しいですが。ぼんやりとでも自分が興味深い技術や、アイデアを言えると良いです。上手くいって面接間とビジョンが合えばさらなる好印象を持ってもらえます。たとえそのアイデアが相手に取って不評であっても気落ちせず、ディスカッションをさせてもらったことを感謝した上で、これからも前向きにまたディスカッションしたいと締めくくれば良いと思います。
仮にアイデアがその場で否定されたとしても、ディスカッションができる姿勢はむしろ評価されることもあります。冷静に受け止め、前向きな姿勢で終えることが大切です。
★地域や制度による違いにも注意
面接で求められるものや重視されるものの傾向は、国や分野・地域によって大きく異なります。一般的な傾向として、例えばアメリカでは教育プログラムとしてPhDを位置付け「学生を採る」面接が行われる傾向があります。この場合、志願者のポテンシャル・学力や熱意重視がされます。一方、ヨーロッパではプロジェクトに人を「採用する」形式が多く、より「就職面接」に近い内容になる傾向があります。
また、大学によっては面接の選考重視度が大きく異なるため、「書類でほぼ決まる」分野もあれば、書類だけではあまり人を落とさず面接の重要度が高い場合もあります。自分の志望する分野・大学ではどれほど面接が重要なのか、あらかじめリサーチしましょう。
★体験に基づいた補足情報
以下、XPLANEファシリのメンバーの面接体験に基づく補足情報です。
- 面接の有無・形式は大学や分野によって大きく異なる(例:ある学生はアメリカ5校中1校のみ面接あり)
- 緊張して話せなくなっても、言い直しの機会を与えてくれることもあり、過度な心配は不要。
まとめ
海外大学院の面接では、研究内容の深さや将来のビジョン、ソフトスキルや人柄までが見られます。特にオンライン化が進んだ今、準備すべき項目も多様化しています。ぜひ、自分の強みや熱意を整理し、自信を持って臨みましょう。