海外PhD留学生のリアル〜遠距離恋愛の秘訣〜(山口直哉さん、山口真友子さんインタビュー)【XPLANE TIMES 留学生活だより】

遠距離パートナーシップにおける交際と結婚の違い

遠距離交際をされる中でご結婚されたということですが、どういった点に交際と結婚の違いを感じますか?

結婚して私の苗字が変わったので、旧姓で仕事を続けるための手続きやパスポートなどのもろもろの事務手続きが必要でした。それは一つ、大きな変化でしたね。

私たちは、海外生活を送る上で、交際から結婚もしくは行政上の認められたパートナーに切り替えた方が、総合的には得することが多いのではないかと考えています。例えば同居する場合、賃貸の審査に配偶者と合わせた世帯所得が使われることがあり、その場合結婚して共働きしている方が有利になります。配偶者として相手の職場の福利厚生の恩恵に預かれることもあります。ただし、結婚して別々の国に生活していると、税金関係の手続きが多少ややこしくなる可能性はあるかもしれません。交際から結婚に移行し、生活が楽になったと思うことの方が多いです。

私たちは2019年の年末に日本で入籍し、「半年後に結婚式で会おうね。」と、それぞれニューヨークとシンガポールに戻りました。その数ヶ月後からコロナ禍になってしまい、そのまま二年弱会えない状況になりました。コロナ禍前に籍を入れることができたのは幸いでした。この長期に渡って会うことができない期間も、既に結婚していたことで関係が安定しており、私にとって精神的な支えになっていました。

結婚したことによって、生活上のメリットなどもあったのでしょうか?

結婚したことによる恩恵はありました。私が渡英する際、妻が既にケンブリッジでの生活を始めていたので、私は配偶者として彼女の大学の寮にそのまま入居することができました。その後、私はフェローシップを獲得し、好条件な英国ビザに切り替えられることになりました。妻も配偶者としてそのビザに切り替えることができたため、ビザの心配をせずに就職活動を始められ、イギリスでの転職活動を円滑に進められたようです。このように、それぞれが享受するベネフィットを共有し合えることもあります。

留学生活と遠距離交際・結婚、どう考える?

国際的に遠距離交際を継続する中で、どのようにしてお互いの存在が恋人から人生のパートナーへと変わっていったのでしょうか?

私ははじめから、遠距離交際をするならば最終的に結婚するというゴールが必要だと思っていました。そのため、そもそものはじめから強くゴールを意識して交際を始めました。途中からは、そのことを彼にも言うようにしていました。彼はPh.D.の半ばでしたが、「二人とも経済的に自立しているし、学生でも結婚はできるからね。」と伝えていました。
一方で、逆にあまり深く考えすぎないようにしました。結婚は社会上の制度なので、一度結婚しても、それでうまくいかなければ白紙に戻せば良いと思っていました。私の中では「彼氏がいるので、仕事を辞めてイギリスの大学に行きます。」という選択はとれませんでした。そういった大きな決断には、相手と結婚している関係が前提でした。そのため、結婚して一緒に暮らしてみて、どうしてもうまくいかなければ、やり直せばいいのではと考えていました。

海外大学院留学を検討されている方向けのメッセージにもなりますが、海外Ph.D.の多くの場合学生でも経済的に自立できるというのは、重要な要素だと思います。私がアメリカの大学院進学を検討したのも、「経済的に自立ができるから」というのが一因でした。アメリカのPh.D.で給料が入ってくるようになり、結婚に対する心理的障壁が減りました。私も自分自身の生活は賄えるようになり、妻も経済的に自立しているのならば、「学生」という身分を過度に意識して躊躇する必要はないと思いました。
私の場合、Ph.D.が終わるまで生活に変化がなく、気持ち的には結婚の決断を引き延ばすことができました。しかし、女性の場合は年を重ねることによる生物学的な制限もあります。生命科学分野のPh.D.はおよそ六・七年かかりますので、学生だからという理由で結婚をためらうと長い期間物事が前に進みません。周囲のPh.D.の学生も、課程の後半くらいから次々と結婚し始めるので、全く不思議なことではありませんでした。

次:これから大学院留学する人へのメッセージ

1 2 3 4 5
  • URLをコピーしました!