海外PhD留学生のリアル〜遠距離恋愛の秘訣〜(山口直哉さん、山口真友子さんインタビュー)【XPLANE TIMES 留学生活だより】

本記事はXPLANE TIMES(ニュースレター)第3号(2024年4月13日発行)内の連載企画『留学生活だより』に掲載された記事です。
連載企画『留学生活だより』では、海外留学において大学内に限らない趣味、生活に関する事柄、地域特有の事情などについての記事を掲載しています。今回は、長期留学における遠距離でのパートナーシップの維持をテーマに取り上げます。ケンブリッジにお住まいの山口さんご夫妻にお話をお伺いし、遠距離交際において心がけていたことや難しさなどをお伺いしました。

ケンブリッジでカヌーを楽しむ山口さんご夫妻

留学を前提とした交際スタート

今日はよろしくお願いします。お二人の自己紹介をお願いいたします。

私は現在三十代前半で、学部と修士は日本の大学にて細胞生物学を研究しました。その後、ニューヨークの大学院に入学し、六年三ヶ月にわたって発生生物学の研究を行いました。現在は、イギリス・ケンブリッジのラボで、ポスドクとして結核の研究を行い、妻と二人で暮らしています。

夫と同い年で、日本の大学の法学部を卒業し、新卒で総合商社に入社しました。そこで、エネルギー・電力・インフラ関係への投資の仕事に七年ほど従事しました。最初の四年間は東京で働き、その後三年間はシンガポールに駐在しました。2021年にイギリスに渡り、現地で経営学修士(MBA)を取得し、現在はロンドンの会社で働いています。夫がケンブリッジに移る数ヶ月前に渡英しました。

なかなかお二人のキャリアの接点が見えづらいのですが、どういったところでお知り合いになられましたか?

私たちは地元の中学校の同級生でした。私は2015年8月に渡米しましたが、その前年、Ph.D.出願の準備を彼女に手伝ってもらいました。彼女は私よりもずっと英語が上手なので、SOPを直してもらったりインタビューの練習に付き合ってもらったりしました。私はそれまで留学経験などがありませんでした。当時はXPLANEのようなサービスは何もありませんでした。頼れるもの・人を全て頼ったのです。

私は幼少期の数年間をアメリカで過ごしました。夫とは中学校からの友達でした。

中学校以来仲良くしていましたが、交際はしていませんでした。私は学部・修士と地方にいましたが、妻は私が地元に帰るとよく会う友人の一人でした。
大学院に合格し、修士課程を終えた後、渡米するまでの数カ月間は地元に戻りました。その頃からまた少しずつ会うようになり、その期間に交際を始めました。振り返ると、遠距離になることを互いに了解して交際を始めることができたのは、よかったと思います

どういうところが良かったのでしょう?

私の留学によって遠距離になることが、突然訪れた困難ではなかったからです。いずれどこかで一緒に生活できるよう、お互いに調整しようと考えて交際が始まったので、それが結果的によかったのだと思っています。

私の目線では、彼が渡米する前の2015年は社会人二年目で、仕事も楽しくやりがいがあり、バリバリ頑張っていきたいと思っていました。また、もともと海外と接点を持つことをしてみたいと考えて商社に入社したという一面もあり、海外で生活することをポジティブに考えていました。
一方、会社に入り楽しいことも沢山ありましたが、このままある意味敷かれたレールの上でキャリアを歩み続けるのかという漠然とした悩みがありました。海外に出て新しいことに挑戦しようとしている彼の姿を見て、そういう人生も面白いなと思いました。
もともと海外での生活をポジティブに捉えられる素地があったのと、自分とは全く異なる環境ながら海外へ挑戦していこうする彼を見て、憧れと尊敬を抱きました。つまり、逆にそのことに魅力を感じました。「海外に行くんだ。いいな。」と。そこから交際も自然に前向きに捉えられた感じでした。

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