XPLANE SoP執筆支援プログラムについて(+2020年度実施報告)【活動紹介】

(注:この記事は2021年6月に作成したものです。プログラムの最新の制度などは当時と異なる可能性がありますので、こちらのリンクから最新年度の記事も合わせてお読みください。)

XPLANEでは昨年8月、海外大学院出願の際に必要な書類の1つであるStatement of Purpose (以下SoP)の執筆支援制度「XPLANE SoPライティングメンタープログラム」を立ち上げました。これはSoP執筆のためにアドバイスをもらいたい出願予定者と、後輩のために執筆支援をしてくださる留学経験者のメンターをXPLANEコミュニティ上でマッチングし、出願に向けてSoPドラフトを練り上げていくプログラムです。

多くの方の助けもあって、昨年は初年度ながら35名*1 の出願予定者のSoP執筆支援を行うことができました。4月からの連載企画「海外大学院受験記2021」に寄稿してくださった今年度の海外大学院合格者の方々の中にも本プログラムを利用された方は多く、高い評価をいただいています。

7月から2021年度の執筆支援が始動するのにあたり、本記事では昨年度の実施報告も兼ねて、本プログラムを簡単に紹介したいと思います。昨年度プログラムに関わってくださった方も、今年度海外大学院の受験を考えている方も、現在留学中で後輩の大学院留学を支援したいという方も、ぜひお読みください。

1. SoPプログラム設立の背景

SoPは自身の研究経歴、志望動機、自身の描くキャリア内での出願先プログラムの位置づけ等の記述を通じて「自分が出願先プログラムにマッチしている」ことをアピールする書類です(詳しくはSOPに)。出願書類の中でも特に重要なものの1つですが、形式の自由度が比較的高く、書く内容も個人的かつ多岐にわたるため、1人で準備するのは大変な書類でもあります。

「良いSoPを書くためには多くの人からフィードバックをもらうのが効果的」とはよく聞く言葉ですが、具体的に誰にアドバイスを求めることが多いでしょうか?おそらく代表的なのは、

(1) 指導教員、研究室の先輩や同僚

強み: 研究内容の理解度が高く、具体的な研究計画などにもアドバイスできる

弱み:英語の母語話者ではない場合が多い

(2) 英語のネイティブスピーカー(または添削サービス)

強み:英語のレベルを引き上げ、自然な表現にできる

弱み:細かい研究内容・専門用語には明るくない

だと考えられます。今回XPLANEでは、これらからは得られにくいフィードバックを提供するため、

(3) 同じ分野・地域の大学院留学経験者

を出願予定者それぞれに対してメンターとして割り当て、個別にSoPの執筆を支援するプログラムを立ち上げました。(1)(2)に欠けていることが多い「実際に海外大学院への出願を経験し、該当分野・留学先の国の実情を理解した上でのアドバイス」を加えることで、SoPの質をさらに一段階高められると考えています。

このような「現役留学生/留学経験者が留学志望者のメンターとなる」という形式のプログラムは他にも存在します*2 が、本プログラムでは以下の特色に示すように、執筆支援の充実度を高めるための様々な工夫を行っています。

2. 本プログラムの特色

2-1. ライティングセンター教育学に基づいた執筆支援
メンター向けワークショップ(2020)抜粋
図1. メンター向けワークショップのスライドの抜粋
SoPワークシート_Screenshot
図2. 提供する執筆支援用の教材の例

プログラムを受講する出願予定者(メンティー)1人に対して担当のメインメンターが1人付いて執筆支援を行うシステムですが、執筆支援課程は決してメインメンターに丸投げではありません。本プログラムの執筆支援カリキュラムはライティングセンター教育学*3・カリキュラム開発の専門家の監修の下で細かく設計されており、SoPを作り上げてゆく各過程での支援の指針をガイドラインとしてメンターに示しています。具体的には、メンター向けのワークショップを開催し(図1)、執筆支援に役立つ教材・SoPの例(図2)などを共有することにより、メンターの負担を減らすと同時に、初めて執筆支援を担当するメンターも安心して支援できるようにしています。

また、出願予定者に対しても事前にワークショップを行い、SoPについての基本的な知識・書き方の基礎を学んだ上でメンターによる個別支援に進んでもらっています

(参考:SOPの書き方昨年度のワークショップ資料

2-2. メンター・メンティー間の高いマッチング度

出願予定者に対して担当メンターを割り当てる際、(1) 専門分野 (2) 大学院の取得予定学位(修士・博士)(3) 留学先の国、が一致するように気を配ってマッチングを行っています。完全に適合したメンターが見つからないケースもありますが、XPLANEの有する大きな留学コミュニティ*4にも助けられ、多くの場合最適なメンターを見つけられています。2020年度の最終アンケートでは、プログラム受講者の93%がマッチング結果に5段階中最高の「非常に満足」と回答しました。

これにより、分野・課程・国独特の内容なども共有することができ、研究内容・専門用語の細かい点まで書き方のアドバイスができます。また、「分野・国が近い先輩/後輩と繋がることでモチベーションが上がる」という声も出願予定者・メンターの双方から上がりました。

2-3. サブメンター制度

執筆支援を主に担当するメインメンターに加えて、出願予定者それぞれにサブメンターを1人割り当て、必要な場面におけるメインメンターの支援のサポートを行ってもらっています。この制度に関しても、以下をはじめとしたポジティブな意見が多数寄せられました。

  • メンター二人の意見が一致するところは重要な改善点であり、違う視点でアドバイスを貰えた時は改善点が多く見つかった。(受講生より)
  • 指導に不安になったときにサブメンターの意見を仰げる。意見を聞くことでメンターとして勉強になった(メンターより)

3. 2020年度の受講者・メンターからの声の紹介

  • 当初のDraftは割とめちゃくちゃだったと思うのですが、丁寧なアドバイスをいただく中で論理構成が固まり、最終的にとても納得の行くSoPが書けたと思います。おかげで12月中に早くも2つの大学院から合格をいただくことができました。(受講者からの声)
  • SoPを書いていく過程で、なぜ自分がアメリカに行くのか、PhDを取りに行くのか、ということを真剣に考えることになりとても良い期間になったと思います。また色々アメリカのPhD生活についてのお話を聞けたのも非常に勉強になりました。(受講者からの声)
  • 自分である程度SoPの書き方については調べているつもりでしたが、実際に書き始めてみると自分の経験をどうまとめたらよいか全然整理できていませんでした。メンタリングを通して、SoPで自分の経験をどこまでどういう風に伝えたらよいかについて理解が深まり,より良いSoPを提出することができたと思います。(受講者からの声)
  • 周りに大学院留学する学生が全くおらず、右も左も分からない中、SoPとは何かを一から丁寧に優しく教えて頂き、大変助かった。(受講者からの声)
  • メンターをする中でメンティーのライティングが週を追うごとに向上しているのが感じられて有意義だったと共に、こちらも学ぶものがあった。(メンターからの声)
  • 揃った材料をもとに構成を詰めていく段階はそれなりのライティング経験が必要で、その点においてPhD課程で学んでいる⼈がメンターとして貢献出来る部分は⼤きいと感じた。(メンターからの声)
  • 分野も近く、またSoP⽀援を通して私も多くの技術的・学術的知⾒を得られたので⾮常に満⾜です。(メンターからの声)
 

4. 2021年度のプログラムの内容・スケジュール

今年度も、前述の全体向けワークショップとメンターとの個別ミーティング(原則1時間×6回)を通じた執筆支援を8月から行う予定です。それぞれのペアの進行状況によってフレキシブルではあるものの、スケジュールと各ミーティングの支援内容の概要は以下の通りです。

■ オリエンテーションと参加者募集(7〜8月)

XPLANEのSlack内で募集(Slackへの参加方法はこちらから)

■ 留学志望者向けワークショップ(8月上旬)

SoPについての知識・書き方・パラグラフライティングの基礎を学ぶ

ミーティング第1回:初回ミーティング 

分野/研究テーマ、志望校/志望学科、SoPの進捗確認など執筆支援に必要な事項の確認

■ ミーティング第2回:Generating Ideas (考案)

書きたいアイデアを列挙し、実際に書く内容を取捨選択する

■ ミーティング第3回&第4回:Organizing Ideas (構成)

アウトラインを作成し、取捨選択したアイデアを、どの段落のどの箇所に配置するかを決める

■ Drafting (草稿)

アウトラインに基づき、実際にSoPの草稿を作成する

■ ミーティング第5回&第6回:Revising (修正) (11月中旬頃までに)

草稿を内容と表現の両面において何度も書き直す

■ Proofreading (校正) (提出締め切り(12月が多い)までに)

ネイティブまたはバイリンガルによる英語(文法、スペルなど)の最終的な修正を受ける

5. おわりに

本プログラムが初年度にも関わらず大きな成功を収められた第一の理由は、忙しい中でメンターとして参加いただいたXPLANEコミュニティの留学経験者の皆様のご協力に他なりません。本当にありがとうございました。

また、ライティングセンター教育学・カリキュラム開発の専門家としての視点からカリキュラム設計、ワークショップ開催にご尽力してくださったハワイ大学マノア校の松谷優花さんに深く感謝いたします。

XPLANEでは、本プログラムによって今年度以降も継続的に大学院留学を夢見る学生を広く支援してゆきたいと考えています。留学経験者の皆様には、引き続きご協力いただけると幸いです。

(注)

*1 初年度の2020年度は8月-9月でプロトタイプ版プログラムとして試験的に8組のSoP執筆支援を行い、制度や問題点の検討を行いました。その後、10月からの本運用プログラムで計27組を支援しました(これらは、諸般の事情のために最終的に出願に至らなかった方も含みます)。
*2 現在は終了していますが、大学院留学志望者に対する支援として、米国大学院学生会も2017年2月までメンタープログラムを主催していました。https://gakuiryugaku.net/about
*3 ライティング学習のサポート機関としてライティングセンターを設置する大学が世界各地で年々増えており、ライティングセンター教育学ではライティングセンターにおける教育理論と教育方法を研究している。
*4 2021年6月時点でXPLANEのSlackには約1100名の留学経験者・留学志望者が登録しています。
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