陸の孤島から5カ国の大学院同時受験!〜豪雪地帯インターンを添えて〜【海外大学院受験記2021-#2】

XPLANE連載企画「海外大学院受験記2021」では、今年度海外大学院への出願を終えたばかりの方の最新の体験を共有していただいています。第2回である今回は、この秋から英国Cambridge大学の修士課程(Arts, Creativity and Education)に進学予定のあんじゅさんに寄稿していただきました。

University of Cambridge
こんにちは、福岡出身、秋田の国際教養大学の学部を卒業します、木下明夢樹(あんじゅ)と申します! 大学に行くまで海外に出たことがありませんでしたが、1年半の休学をしてマーチング*1の為に渡米、大学の交換留学などなどを経て、「日本の生活より海外の方が合っている!」と気づいて、海外大学院に進学することを決めました。日本生まれ日本育ちでも、ド田舎出身でも、お金持ちじゃなくても、「海外で活躍するチャンスはどんな人間にもあるんだ!」って伝えたくて記事を書いています。豪雪地帯の味噌・醤油醸造元でフルタイム・インターンをしながら5カ国に同時出願(日本、アメリカ、イギリス、カナダ、ドイツ)した変な人の話を知りたい方は、ぜひ楽しんでいただけたらと思います。

目次

Q. 大学院受験を志したきっかけは何ですか?

国際教養大学(以下AIU)はアメリカのリベラル・アーツカレッジ*2をモデルとした、授業は全て英語で行うスタイルの一風変わった大学です。英語教師を目指して入学しましたが、学んでいるうちに、私の興味は「英語教育」ではなく「教育学」にあることに気づき、さらにリベラルアーツでは専門的な知識の習得ができていないことを実感しました。将来的に研究者になりたい(専門知識を持って戦える人間になりたい)と考えていたので、大学院で専門の勉強が必要だと決心しました。

何故海外かと言うと、「日本のアカデミアは自分に合わないだろうな〜」というフィーリングです(笑)。 より真面目な話としては、海外大学院へ行けばそこから海外で働くというキャリアの足掛けとなり、海外の教授とのネットワークも構築できると考えました。AIUは小さな大学でしたので、教授との距離も近かったですし、日本の一般の大学(私は経験していませんが、友人談から推測する限り)では考えられないくらいのフラットさがあり、ここで6年(この年数にも紆余曲折が……)過ごしてしまった私は、「日本のアカデミアには合わせられない!」と思ってしまいました。

国際教養大学の図書館

Q. 大学時代・留学先での専門について教えてください。 

大学の学部はグローバル・スタディーズ課程・北米専攻という名でしたが、心理学の統計を使ったマーチング・アーツ*1に関する卒論を書く、という暴挙にでました。学部は二択しか無いのですが、ゼミの教授がOKならどんなトピックもだいたい面倒を見てもらえましたので、私のキーワードである【アート×教育×心理学】で仕上げました(これも他大学と比べると卒論と呼んで良いのやら……)。しかしこのおかげで学部生の小さな一歩にはなったのかなあ、と思います。

進学予定のケンブリッジ大学では修士(MPhil)のArts, Creativity, and Educationというまさに私が望んでいた通りのプログラムになっています。私はアート教育ではなく、「教育におけるアートの役割」や「学びの手段としてのアート」という視点を持っていたので、その関係性、かつCreativityという私が特に学びで尊重されるべきだと考えている概念も合わせた、最強のプログラムでした。

私の具体的な研究内容としては、「創造性を育む学びの環境デザイン」という主題を掲げています。創造性を引き出す学びとは何か、どのようにアートを利用できるか、ワクワクする学びの経験はいかにしてつくるのか・経験するのか、生涯を通した学びを面白くするには何が必要なのか。たくさんの問いがありますが、修士課程での学びを通して次のステップとなる出会いを見つけたいと考えています。

"University of Cambridge, Faculty of Education" by Kent406

Q. 出願の際、英語の試験などで苦労した点はありましたか?

 英語の勉強は、出願に関してはあまり苦労しなかったのですが、奨学金応募のためのスコアが出願先大学の要求水準よりも高いという点で苦労しました。TOEFL iBTに絞っていましたが、100点を超えるのが応募期限に間に合わず…大きい奨学金2つくらい、諦めました(泣)。

 GREは元々不要な大学、コロナの影響で不要になった大学のみを受験したので、力試しに丸一年前に受験したボロボロの1回のみです。しかし、こういった抜け道(?)を知ることも、海外留学を目指す時に知っておくと良いところかな、と思います。どうしてもアメリカの大学院なら大体 GREが必要なのかもしれませんが、イギリス、カナダ、ドイツではGREが不要なところも多いです。カナダは語学試験のハードルもとても低いです。狙う出願先を戦略的に決めるのも大事だと思います。

Q. 他の出願書類についても、印象に残っていることはありますか?

タイトルにある通り、私は2020年9月から現在まで秋田県南の豪雪地帯にてフルタイム・インターンをしています。

春学期はオンラインで大学の授業を学期の最大単位数(フル単位)で履修、夏には教育実習、オンラインイベントのファシリテーション、と駆け抜け、9月からは大学の授業を週1で受けつつ週5で働く、という「社会人入試をやっているのかな?」というようなスケジュールで生きていました。今思えばよく生きてたなと思います(笑)。

そんなスケジュールの中でしたので、奨学金申請やSoPはガーッと集中して書き上げました。自分でも衝撃だったことは、10月に知人に教えてもらったケンブリッジとトロントのプログラムを調べた際に「めちゃめちゃ行きたい…!!」と感じて出願を決意したことです。カナダは締め切りが早く(11月15日)、ケンブリッジも奨学金の審査のために早く提出(12月1日)という具合だったので、実質2-3週間でしょうか。夏の間に一度ドラフトは書いていましたが、推薦書を書いていただいた先生に見てもらいながら、何度も何度も書き直して泣きながら完成させました。(大好きな漫画『ハイキュー‼』に何度支えられたことか…異常な降雪量と雪国の日の短さも相まって、本当に鬱かなと思うくらい泣きました(笑)。)

SoPのアドバイスは一人の先生に絞る、というところも重要だったかなと思います。色々な人に見てもらうと、色々な視点のアドバイスが貰える反面、方向性もバラバラになってしまいます。自分ともう一人客観的に見てくれる人と、一つの方向に向かって文章を書くことでSoPのconsistencyを維持できるのではないかな、と思います。

推薦書に関しては、AIUのコミュニティの小ささが功を奏し、一緒に研究をしていただいた教授、一年前にアメリカのアートNPO団体でインターンをしていた時のボス、教職担当の教授、そしてアートと教育について何度も語り合った教授など、私をきちんと知ってくれている、と胸を張って言える先生方に書いていただくことができました

University of Cambridge

Q. 出願先・進学先はどのように決めましたか?

進学先選びは、運というか、周りに支えられた点がたくさんあります。最初に私はアメリカの大学院のみを受験しようと考えていました。交換留学でアメリカに行ってから、アメリカの自由さが好きになり、そして面白くて、「絶対また戻ってくるんだ!!」と思っていました。しかし、仲良くしていた教授から「今のご時世(各国で異なるコロナの対応、当時はトランプが大統領だったこと等)を考えると、アメリカに絞らずに色々受けたほうが良い」とアドバイスを頂きました。その教授からケンブリッジの奨学金の話を紹介されたり、トロント大学に行っていた知人から連絡をもらったり、日本の院にいる友人から京都大学を薦められたり…全部プログラムを調べ、全部受験することにしました。ヨーロッパは費用を抑えた留学の為にErasmus+*3など利用したかったのですが、コロナでプログラムがなくなったため、ドイツのDAAD奨学金*4にも応募しました。合わせると合計5カ国、6校の出願(DAADの奨学金には落ちましたが、他の大学に全落ちしたら自費留学の覚悟でドイツの大学に出願しようと考えていました)

全落ちを本気で覚悟していたので、結果待ちをしていた1月には春から出願できるデンマークやシンガポールの大学も調べていました…。色々プランを考えながら、各国に進学した場合のメリット・デメリットなどを知ることができたのは、将来にも活かせる学びだったな、と思います!

Q. 最後に、今後海外大学院へ出願する人へのメッセージ・アドバイスをどうぞ。

人生は何が起きるか分からない!!

自分が出願すると思ってなかった大学にたくさん出願して、合格をいただけると思ってなかったところから合格までいただきました(条件付き合格*5だったりするのでこれからIELTSの勉強ですが‥)。自分にはこんな有名な大学なんて無理だ‥と思っていても、意外といけました。

出願をすれば、もしかしたら合格するかもしれない。だけど、出願すらしなかったら合格確率は絶対的0%です。計画性だけでなく、時には勢いと流れに任せて、飛び込んでみることも大事だと思います。

読んでくださった方から質問、コメント、応援などいただけたらとっても嬉しいです!友人から頂いたこの御恩を次の皆さんに繋げていきたいと思っていますので、ぜひreach outしてください〜お待ちしています!!!

(編注)
*1 楽器を演奏したり、旗やライフルといった手具を使いながら制限時間内に演奏演技によって芸術性を競う活動のこと。より一般的な「マーチングバンド」と比べて少しルールが異なり、総合芸術と呼ばれるようなより芸術性の高い活動である。
*2 総合大学・研究型大学で重要視される深い専門性の高さよりも、幅広い知識・教養を重視した教育(リベラルアーツ教育)を行うタイプの大学。多くは学士課程のみで大学院を併設せず、1学年あたりの学生数が少ない傾向がある。
*3 ヨーロッパ連合(EU)が主導する、ヨーロッパでの大規模な教育助成プログラム。日欧の大学間協力も目的に含まれており、日本の学生が応募できる奨学金も提供している。
*4 ドイツ学術交流会(Der Deutsche Akademische Austauschdienst)が募集している、大学院生を含む優秀な若手研究者・芸術家などをドイツに招聘するための奨学金制度。
*5 出願時に英語の試験などで大学の求める水準などを満たしていない場合に、入学時までに大学の指定条件を満たすという条件付きでオファーを出すことがある。特にイギリスの大学院でよく見られる。
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