30歳高校教師がコロンビア大を受験しようと思ったわけ【海外大学院受験記2021-#5】

XPLANE連載企画「海外大学院受験記2021」では、今年度海外大学院への出願を終えたばかりの方の最新の体験を共有していただいています。第5回である今回は、この秋からアメリカ・ニューヨーク州のColumbia University Teachers Collegeに進学される田原佑介さんに寄稿していただきました。

Teachers College of Columbia University (by Bohao Zhao)

私は、公立高校で英語の教員をしています。2021年秋よりコロンビア大学のTeachers Collegeに進学します。留学しようと思ったきっかけや経緯について書きます。

きっかけ

大学を卒業後、公立高校での勤務が始まりました。2校目に異動した頃、転機がありました。経産省「未来の教室」実証事業である「Hero Makers」に参加したことです。運営されていたのは、白川寧々さん(以下、寧々さん)。寧々さんは、「教員こそが日本を牽引するグローバルリーダーに」と言っていました。このメッセージが、私にグサッと刺さりました。学校では生徒に「グローバルリーダーになろうね」と言っているのです。にもかかわらず、私は英語教師として「自分はグローバルリーダーだ!」と思ったことはなく、胸を張って言えるわけでもありません。周りから「教員は、グローバルリーダーになるべきだ」という期待を感じたことも、ありませんでした。だから、寧々さんのメッセージは衝撃でした。寧々さんは、英語を身につけた先の世界を見せてくれました。

Hero Makersでは、グローバルに活躍する起業家がゲストスピーカーとして、彼らの見ている世界を教えてくれました。堂々と自分の世界観を話す姿に、強烈に憧れました。私も生徒に、英語が話せたらどんな世界が待っているのか、見せられる教師になりたいと思うようになりました。Hero Makers一期を終えた2019年5月「留学しよう」と決めました。寧々さんにメッセージをすると、「その旅にお付き合いします」と返事をもらい、海外大学院への出願準備が始まります。

 

なぜ、寧々さんのメッセージがこんなに心に残ったのか、考えてみました。私は、高校生の頃、千葉大学の推薦を受けようと英語の先生に相談したら、「えっ」と言われました。表情から「あなたが受けるの?」というメッセージを受けとりました。ハーバード、スタンフォードに行きたいと大人に話した時も、「止めといた方がいいよ。家庭も仕事もあるし」とマイナスな反応をする人に、たくさん出会ってきました。テレビやネットでは、誰かの失敗を笑ってばかりです。なぜ多くの大人は、挑戦に対して「無理だ」と言うんでしょう?挑戦を否定する側に回れば、失敗したときに「ほらね。無理だったでしょう」と言えるからです。誰かの挑戦を否定して、挑戦しない自分を正解にしています。学校や社会は、どんどん息苦しく、不寛容で、生きづらくなっています。私は、「なんで大人は自分が挑戦せずに、人の挑戦を笑ってるんだ」と思っていました。

私は、留学をしたことはないし、英語もへたくそです。TOEFLも受けたことがありませんでした。そんな私に対して、寧々さんは、「大学院に行くと、こういう世界が待ってるよ」とか、「こんな素敵な人に出会えるよ」とか、教えてくれたんです。大人とは、次の世代の人に、素敵な世界が待ってることを、背中で見せてくれる人のことだと気づきました。そういう大人になりたいなと思って、大学院への受験を決めました。

Columbia University

コロンビアでやりたいこと

コロンビアで何を学ぶかというと、リーダーシップです。よい学校のつくり方です。私は、教員になって、多くの生徒と出会いました。彼らの能力は、素晴らしく高く、世界で負けるわけがないと思っています。日本のトップ大に合格する生徒の知識量はすさまじいです。でも、グローバルな勝負では、負けてしまっている。それは、大人に原因があります。グローバルな世界を見せようとしない、挑戦させる環境を作らないから、若者が自信を持てずに育ってしまう。また、日本の大学受験で上手くいかなかったからという理由だけで、「自分はだめだ」と思ってしまう若者がたくさんいます。そういう大学生がいたら声を大にして言いたいのですが、絶対にそんなことはありません。日本の大学受験では上手くいかなかったかもしれないけど、グローバルな場で認められる人はたくさんいます。

若者が自信をもって、生きていけるようにするにはどうしたらいいか。私は、若者が、海外進学を当たり前の選択肢の一つとして考えられる教育を実現したいです。海外進学だけがよいわけではありません。ただ、今の教育は、若者にその選択肢すら与えられていません。若者が、主体的に自分の将来について考えることが大事なのです。グローバルな世界も見せた上で、「あなたはどうしたい?」と言える教育がいいです。実質賃金や一人当たりGDPの推移をみると、世界から離されるばかりです。ジェンダーギャップも大きすぎる。若者に必死に勉強をさせておいて、そのレールの先にある社会がこんな社会です。理不尽すぎる。

そう思って、生徒と学校を改革するプロジェクトに取り組んできました。「学校を変えるぞ!」と思っていた割には、現実としては、海外進学を積極的にすすめられるような環境は全く実現できませんでした。私の力不足でした。よく考えれば、大学の教育学部の授業で、授業のやり方はあっても、学校づくりやリーダーシップの授業はありません。だから、コロンビアでリーダーシップを学びます。コロンビア大学は、ニューヨークにあります。多様な学校があります。海外から教育者が集まります。様々な国や地域の学校づくりを学び、日本で実現すべき学校の姿を探ります。そのために、コロンビアで1年学んできます。公立高校の教員でも、留学経験がなくても、30歳でも、家庭があっても、海外進学はできます。一人でも多くの方が、海外進学に挑戦されることを願っています。

ブログ「公立高校教員コロンビア大学院行ってきます」(https://yusuketahara119.com/)もやっていますので、もしよかったらご覧ください。

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