小学校教員を辞めて、安全保障を学ぶためにワシントンD.C.へ!【海外大学院受験記2022-#8】

XPLANE連載企画「海外大学院受験記」では、海外大学院への出願を終えたばかりの方の最新の体験を共有していただいています。2022年度の第8回である今回は、この秋からAmerican Universityの修士課程(国際関係学)に進学予定のRyoさんに寄稿していただきました。

目次

1. 自己紹介

私は、現在都内で小学校の教員をしています。2019年3月に大学を卒業してから学校教員として働いているので、ちょうど3年間と3ヶ月社会人を経験しました。今回は、学校教員からキャリアチェンジのために、大学院留学をしようとする者の留学を志した理由から準備期間の話を記事にまとめました。上記のことを鑑みると、キャリアチェンジのために大学院に進学しようとする方々、特に、学校教員の方が教育以外の分野で大学院に進学されたい場合に参考になる記事であると思います。

進学先の大学院は、アメリカン大学のSchool of International Serviceです。進学するプログラムでは、主に、国際関係・安全保障分野において政策分析を行います。しかしながら、私は、データや分析手法について全くの門外漢であり、この大学院留学では、統計ソフトを使い、定量的な政策分析ができるようなスキルを確実に身につけることが目標です。

‘The American University’ — Embassy Park Washington (DC) 2017 by Ron Cogswell is licensed under CC BY 2.0.

2. なぜ、学校教員を辞めて大学院留学を志したのか。

二つ大きな「やりたいこと」があり、大学院留学を決めました。
一つは、キャリアを変えたいことが最大の決定材料となりました。私は、新卒で小学校教員になりました。自分が大学で学んだことや日々の経験を明日へ繋げられるような実践主義の学校で勤務させていただきました。目の前で成長する子どもたちに直接貢献できる教職も魅力的ではあったのですが、より多くの人へ貢献し、良い影響を与えられるような仕事がしたいと考えたときに、学校以外の環境でもこの目標は達成できると始めました。

そのぼんやりとした動機に加えて、二つ目の「やりたいこと」である安全保障の勉強がありました。私は以前から安全保障や国際関係に興味があり、いつか米国で勉強したいと考えていました。そんな漠然とした興味が少しずつ、目標へ変わっていきます。2017年に外務省主催の米国インターンシッププログラムでバージニア州アレギザンドリアに滞在することになったのです。(ワシントンDCの郊外で、メトロで行ける距離に位置します。)そこで、5ヶ月という短い間に、日本と米国の安全保障の取り組みや専門家の多さに圧倒され、日米間には自分が知らなかった協力や職業がいくつもあることに驚かされました。自分は、教育関係のNPOでインターンをしていましたが、政治が動くワシントンDCの文化に魅了され、安全保障を研究する日本人やシンクタンクのイベントに足を運び始めました。国の政策は、人間によって決められ、実行に移されているという言うまでもない事実を学び、政策関連の仕事を将来してみたいと思った時がこのインターンシップでの滞在でした。
「卒業まで1年。さあどうする。」私は、大学へ戻り、現場を見てみたかった想いから最初は学校で働く道を選びました。働き始めて、2020年、社会人2年目の頃です。沸々と湧き上がる安全保障への興味や意欲を糧に、大学院準備に取り掛かります。

3. 出願準備

私の場合は多くの方と異なり、学部時代の専攻や現在の所属が大学院で学ぶ内容と全く違っています。そのため、再度キャリア戦略も人生設計も組み立て直す必要があると思っています。私の学部時代の専攻は、英語教育であり、既述の通り、現職も小学校学校教員です。まさに、大学院留学は、私にとって、キャリアチェンジでありながらも、今後の人生がどうなるかという壮大な実験でもあります。さて、前置きはこのくらいにしておいて、出願準備についてお話ししていきます。

A. プログラム選び

プログラム選びに関しては、二つの軸で考えました。
1:卒業後に自分が得ているスキル
2:学費 
です。

アメリカ、特にワシントンD Cには、数々の有名な国際関係を学ぶことができる大学院があります。その中で、テキサス大学オースティン校のLBJ School of Public Policyとアメリカン大学 School of International Serviceに出願しました。どちらのプログラムも、政策分析のスキル習得に重きを置いたプログラムで、卒業後に政策分析スキルを持った上で、キャリアを積んでいくことができると大学院をリサーチしていた段階で感じたからです。二つ目の軸である学費もまた、私の大学院留学の出願準備において非常に頭を悩ませる問題になりました。今後、自分の親に莫大な借金をして進学すべきか、学費が比較的安いところへ進学すべきか、悩み、結果的に出願したのは2校のみという決断に至ったのです。結果は、テキサス大学オースティン校のLBJ School of Public Policyは不合格。アメリカン大学は、合格でした。両校の学費を比べると、後者は前者よりも3倍高く、途轍もない差がありますが、どちらの大学院に進学すべきかという心配は、この結果により、杞憂に終わりました。

B. 英語のテスト

英語のテストは、両校ともにTOEFLのみが必要でしたので、GREは準備・提出していません。TOEFL自体は、経験と毎日の積み重ねが非常に大切になってくると、今振り返ってみて思います。経験というのは、実際にテストを受けるということです。最近では、TOEFLの過去問も手に入りやすくオンラインで練習することも可能なので、それを何度も繰り返し、テストを受けました。特に、それぞれやり方や苦手はあるかと思います。私は、リーディングとスピーキングが苦手領域でした。何度も練習していると、コツがわかってきて、リーディングは、少し声を出して読み進めることで文章理解度が上がる感覚を掴みました。また、スピーキングの点数を上げるのにも苦労しました。テンプレートを覚え、テスト当日は、大きな声で、自分が何か有名な新聞社にインタビューを受けているかのようなマインドセットで、身振り手振りでテストに臨みました。Home Edition*1は、周りの受験生がいないので、その環境を存分に活かし、テストを受けると良いと思います。

C. XPLANEのSOP執筆支援プログラム

私は、大学院進学に向けてXPLANEが提供するSoP執筆支援プログラムに参加し、SoPを1から勉強することができました。ライティングの専門家の方からの講義や現役大学院や卒業生からなるメンバーの方々のコンサルティングを経て、自分でも最初に書いたエッセイから見違えるほどのレベルまで書き上げることができました。また、エッセイ以外にも、キャリアや大学院での生活についてお聞きすることもでき、有意義な時間を過ごすことができました。この執筆支援プログラムのおかげで、出願プロセスにおいて大変重要なSoPを着実に準備することができたと思います。

4. 最後に

出願準備については、他の記事のものを参考にしていただいた方が良いと思うので、こちらには、大学院留学を通してキャリアを変えようとする者の心得を書きたいと思います。キャリアを変えるために意識的に行ったことは、自分が目指す業界や大学院の卒業生に直接お話を聞くことです。ネットには、山ほど情報が転がっていますが、本人から話を聞く場合に比べると、情報が古くなっていたり、自分が探している答えが見つからなかったりします。そのため、私は、出願準備において何か質問があれば、教授、目標のキャリアを歩んでいる方々、同じ業界を目指している同志にコンタクトしました。直接お話する機会を通して、自分が考えているキャリアや大学院での過ごし方についてもアドバイスをもらうことができました。この大学院留学は、私のキャリアチェンジの機会でありながらも、今後の人生に大きな変化をもたらす壮大な実験でもあります。この実験を成功させるべく、米国でまずは2年間がんばって勉強したいと思います。

(編注)
1. Covid-19の流行以降、感染対策のために導入された、自宅受験型のTOEFL iBT®テスト。同じ内容、フォーマット、画面のテストを試験監督者によるオンライン監視の下、自分のパソコンを使用して自宅で受験できる。(https://www.toefl-ibt.jp/test_takers/at-home/ より)

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