航空宇宙工学専攻のアメリカ大学院受験【海外大学院受験記2021-#6】
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XPLANE連載企画「海外大学院受験記2021」では、今年度海外大学院への出願を終えたばかりの方の最新の体験を共有していただいています。第6回である今回は、航空宇宙工学専攻でこの秋からアメリカ・マサチューセッツ州のMassachusetts Institute of Technology (MIT)の博士課程に進学して小型ドローンと宇宙機の制御の研究に携わられる予定の近藤耕太さんに寄稿していただきました。
はじめまして。九州大学を卒業し、マサチューセッツ工科大学(MIT)航空宇宙へ進学する近藤耕太と申します。MITでは主に小型ドローンと宇宙機の制御の研究を行う予定です。今回は大学院留学を志したきっかけから最終的な進学校決定までの流れを簡潔に記事にしたいと思います。
私が海外の大学院を目指そうと本格的に考え始めたのは、学部2年の2月のことでした。その春はアメリカ大使館主催のセミナーに参加するためにアメリカに来ていました。大学で航空宇宙を学んではいたものの、航空をやるか宇宙をやるかはっきりしていなかった自分は、セミナーで会ったシリコンバレーのエンジニアに「自分が情熱を持って取り組めるもの、そういうものを仕事にしなさい」と言われ、自分探しのアメリカ横断旅を決行することにしました。西海岸のカリフォルニアから東海岸のフロリダに行き、ケネディスペースセンターに立ち寄った際に幸運にもロケットの打ち上げを見ることが出来ました。初めて見たロケットの打ち上げ。凄まじい轟音と目も開けられないほどの輝き。美しいロケットは、「重力なんて関係ないっ!!」とグングンと力強く進み、一瞬で空の彼方に消えてしまいました。それがアメリカで宇宙を勉強したいと思った最初の瞬間でした。
大学院の留学準備でもっとも大変だと感じたのは、Statement of Purpose (SoP) の作成です。これまで英語のエッセイをあまり書いたことのなかった自分にとって、エッセイの執筆は大変な苦労を要しました。なぜ大学院で勉強したいのか、自分の強みは何か、これまでの研究経験は何か、そこで何を学んだか、そしてそれが大学院の研究でどのように役に立つのか。大学院のエッセイには書くことの基本形があり、それらをしっかり盛り込む必要があります。XPLANEでのSoP執筆支援のイベントを通してSoPの作成方法を学び、執筆支援のプロジェクトで先輩方からアドバイスをもらうことで、SoPを磨き上げることできました。
私は交換留学をミシガン大学でしていたことから、推薦状をミシガン大学の先生方に書いていただくことが出来ました。推薦状は審査項目の重要な要素の一つで、審査員が推薦人の知り合いであったりした場合に大きな効果を発揮します。ミシガン大学やスタンフォード大学の先生方とは研究を通して信頼関係を構築していたので、良い推薦状を書いて頂けたと思います。このような強い推薦状を準備できたことは奨学金や大学院からの合格をもらう上で大きなプラスになったと思います。
TOEFLに関しては、交換留学に必要であったことから学部1年の時から対策をしていました。最初の頃はとても低い点数(30点台だったような気がします)でしたが、学部3年の頃には103点を取得し、交換留学終了後に再度受験し114点を獲得しました。MITの航空宇宙のTOEFLの平均スコアは110点だとPrepSchool TOEFLに書かれていたので、それを目標にしました。対策としては、公式の参考書や多くの人が使っている単語帳を使いました。GREに関しても多くの人が使っている参考書を使い対策をし、V155/ Q170/ AW 4.0というスコアでした。TOEFLもGREも出願の際にはあまり重要視されないとよく聞くので、対策に時間をかけ過ぎないことが大切だと思います。
ここでは奨学金の出願準備に関して述べたいと思います。奨学金は最終的には船井情報科学振興財団からいただくことになりました。奨学金の出願書類の作成は思っていたよりも時間がかかる作業だったので、受験生の皆さんには早めに取り掛かることをおすすめします。また、僕はあまり調べなかったのですが、奨学金ごとに求める学生像が少しずつ違うような気がしたので、事前にこれまでの奨学生にコンタクトを取り、情報をもらうのは大変良いかと思います。多くの奨学金が書類選考の後に面接があり、ここでは書類に書いたことをより深く質問されました。僕の場合はこれまでの研究内容や交換留学に関する質問が多かったです。面接試験前に自分の書いた申請書類を読み直して臨むと良いと思います。
進学先は指導教官との相性、研究室のメンバーの雰囲気、研究室の設備、ファンディングの状況、ラボの卒業生の進路、指導教官とラボの知名度、自分がワクワクできる研究がやれそうかで決めました。MITではProf. Jonathan Howが指導教官になってくださるのですが、彼とは2回ミーティング(面接)を行い、信頼できる先生だと感じました。また、ラボのメンバー二人ともミーティングをし、ラボの雰囲気や研究プロジェクトに関して突っ込んだ話をすることが出来ました。最終的には、自分が興味のあった制御の研究プロジェクトがちょうど区切りの良い時期で、自分がラボに入った際にスムーズにプロジェクトに参加できそうということがMITへの進学の大きな決め手になりました。正直な話をすると西海岸の素晴しい気候と楽しそうな生活に少し(かなり)心揺らぎましたが、グッと堪えました。
大学院の受験は非常にストレスがかかるものです。推薦状を先生方にお願いしたり、奨学金の申請や面接の準備をしたり、英語の試験を受けたり、希望する留学先の先生方にコンタクトを取ったり……、本当に多くのタスクがありますが、一つずつ丁寧に取り組んでいけば、乗り越えられると思います!頑張ってください!応援しています!