【イベントレポ―ト付き】海外学部生を対象にした交流会を開催しました

XPLANEに参加しているメンバーの多くが日本の学部を卒業している一方、学部から海外の大学に進学しているメンバーも一定数います。このような海外大学出身の人たちにとっての海外大学院の受験事情は日本からの出願と異なってきます(e.g. 受験のタイムライン、受けられる奨学金)。そのため、この度XPLANEで海外学部生のチャンネルを開設する運びになりました。

海外学部生チャンネルの旗揚げ企画としてXPLANEでは2021年3月20日に海外学部現役生・OBによる交流会を行いました。第一回の企画として設けられた本企画ではメンバーの交流をメインに、これから行いたい企画などについて話し合いました。

今回の記事では、交流会で挙げられた質問の中から、特に海外学部生特有のものについて海外学部卒業生の皆様に答えていただきました。ぜひ参考にしてみてください。XPLANEでは今後、海外大学学部生に向けたPodcast配信やイベント、質問集の作成などを企画しているのでそちらも楽しみにしていてください。

目次

大学院受験を決断するにあたって

Q. 学部卒業後の様々な進路の中からどのようにPhD受験を決断しましたか?

学部一年の夏に民間企業でインターンをしましたがあまり面白くなく、二年の夏は大学に残り研究を三カ月行いました。この経験がとても楽しかったので、学部二年生の段階で既にPhD受験を決めていました。学部生のうちに民間での経験を積むことも良いと思います。三年生のときにはJICA (独立行政法人国際協力機構)でもインターンをし、結局少し遠回りになったものの、自分の適性ややりたいことを見極めるいい機会になりました。(経済学専攻、北米PhD在籍)

私もPhDに進学するかどうか、また、アメリカに残るかどうかについて悩みました。大学院に進学したい想いはありましたが、本当に研究がしたいかハッキリしていなかったので、学部を卒業した後、二年間のギャップイヤー*1を取りました。ギャップイヤーの間に働いていた研究室でやはり自分は研究がしたいと確信し、博士課程の受験に踏み切りました。将来的にアメリカに長期的に住み続けるかについては未だに悩んでいます。(心理学専攻、北米PhD在籍)

私はアメリカで学部生活を過ごしましたが、通っていた大学が田舎であったこともあり生活が不便だったのが嫌で、卒業後は日本の大学院を受験するつもりでいました。そんな中、日本の外資系の企業でインターンをする機会があり、アドバイザーの方に海外の大学院を勧められ、北米のPhDに応募することを決意しました。また、アメリカの学部は授業料が高く経済的負担が大きかったので、授業料が免除になる北米の大学院は自分にとって魅力的でした。(物理学専攻、北米PhD在籍)

Q. 博士課程では授業料は無償になりますが、経済的に余裕のある生活は送れないと聞きます。就職せずに、博士課程に進学することに関してはどう考えましたか?

学部三年生のときに参加したキャリアフォーラムを機に自分には何が一番大切なのか考えました。就職していた場合に比べるとやはり経済的余裕は少ないので、もし自分が働いていたら、と考えないようにするのが一番理想的な心の持ち方だと思います。博士課程に関しては自分への投資と考えて、経済的な側面に関しては今あまり心配しすぎる必要はないと思います。(経済学専攻、北米PhD在籍)

プログラムや研究室によって研究資金の豊かさも変わるので、ファンディング (資金) は受験するときに見極めるべきポイントの一つです。もし社会人として働いていたらもう少し生活に余裕ができただろうと考えることはありますが、人生において経済的豊かさ以外にも大切なものはあるので、自分にとって楽しい生活を送る上で何が重要かを見極めることが大事です。研究が楽しく、学位を取りたいという思いが強いので、多少経済的な豊かさがなくても充実した生活を私は送れています。。(物理学専攻、北米PhD在籍)

経済面に関してはかなり人生観が関係してくると思います。大学からの給料で不自由なく基本的な生活を送ることはできるので、それ以上の生活を送ることが自分のやりたいことよりも重要なのかどうか考えました。(心理学専攻、北米PhD在籍)

Q. コンピューターサイエンスの分野では企業での研究も盛んですが、大学院進学のメリットはありますか?

例えばアメリカで学位を取得すると、OPTという就労許可を得ることができます。OPTを活用すると卒業後に1年間アメリカで働くことができるため(STEM分野は3年間)、たしかに大学院に進学するメリットは他の分野より少ないかもしれません。ただ、アカデミアでの研究に興味がない人でも、仕事を変えるタイミングでビジネススクールでMBA (ビジネス修士) をとる、という選択をする人は多いようです。(ニューロサイエンス専攻、北米PhD在籍)

大学院受験について

Q. 大学院受験のタイムラインはどのようなものでしたか?

学部卒業後就職してから大学院受験を考え始めました。受験年の9月に受ける大学院を決め、10月にSoP (Statement of Purpose、受験で提出するエッセイ) や推薦状の準備を始めました。受験までに二か月ほどしかなかったことを考えると他の人より遅めのタイムラインかもしれませんが、日本からの受験と比較すると教授が推薦状を書き慣れている、TOEFLが必要ないなどアドバンテージはありました。(国際教育専攻、北米MA卒)

学部3、4年の間の夏に準備を始めました。受験に必要な提出書類は推薦状や学部の成績、受験までの研究内容などで、受験のために自分で一から用意するものは学部受験より少なかった印象。逆にPhD課程志望の場合、受験までの研究経験がある程度必要なため、そういった意味での動き出しは学部早めからやっておく必要があります。(ニューロサイエンス専攻、北米PhD在籍)

Q. ダブルメジャー*2をしているので授業にかなりの時間を割く必要があるのですが、大学院受験のためにもっと研究を優先するべきですか?

経済学の場合は大学院で数学の知識が必要なので、メジャーのクラスは必要最低限にして、数学を重点的に履修していました。自分の行きたい博士課程でどのような授業を取るのがいいのかわかっている場合はそこに重きを置いて、メジャーのクラスの負担を減らしつつ、研究に費やす時間を見つけるのが一つのやり方としてあります。(経済学専攻、北米PhD在籍)

私の場合は夏の間の授業がない期間に集中的に研究を進めていました。夏には多くの大学でサマーインターンを募集していて、他の大学の研究室でも研究をすることが可能なので、時間に制限がある場合は、学期中は授業に集中して夏休み中などに研究を進める方法があります。またギャップイヤーを取るのが構わない場合はその間に経験を積む事も可能です。(心理学専攻、北米PhD在籍)

Question: あまり接点のない教授に推薦状を頼むと、断られたりあまりいい内容を書いてもらえないこともあるのでしょうか?

文系よりのメジャーだと研究室に入ることが少ないですが、オフィスアワー(授業の質問に教授が答えるセッション)に通って仲よくなった教授から推薦状を書いてもらえました。そのように積極的に動いているとTAのポジションをもらえる人もいます。(国際教育専攻、北米MA卒)

頼み方や教授によってはそういうこともあるかもしれないので、お願いをする際に、自分の目標をアピールしたりレジュメを一緒に提出すると良いです。私の場合、良い成績が取れそうなクラスのオフィスアワーに頻繁に通ったり教授に話しに行ったりして積極的に行動しました。そのおかげもあり、授業終わりに教授とコーヒーを飲みに行く機会を得られ、距離を縮めることができました。(Optical Science専攻、北米BS卒)

本イベントはXPLANEが運営するオンラインコミュニティ「XPLANE Slack community」内で行われました。今後もXPLANEでは海外大学院に出願予定の受験生の方々を対象としたイベントやワークショップなどを開催していく予定です。今後の情報は、XPLANEのSlackTwitterなどからチェックしてみてください!

(執筆者注)

*1 学部を卒業してから大学院を受験するまでに期間をあけること。
*2 アメリカなどの大学では複数の専攻(メジャー)をもつことができる。

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