XPLANE SoP執筆支援プログラム 2021年度実施報告【活動紹介】

XPLANEでは2020年8月、海外大学院出願の際に必要な書類の1つであるStatement of Purpose (以下SoP)の執筆支援制度「XPLANE SoPライティングメンタープログラム」を立ち上げました。これはSoP執筆のためにアドバイスをもらいたい出願予定者と、後輩のために執筆支援をしてくださる留学経験者のメンターをXPLANEコミュニティ上でマッチングし、出願に向けてSoPドラフトを練り上げていくプログラムです。

多くの方の助けもあって、2年目の昨年度は約60名の出願予定者のSoP執筆支援を行い(初年度は35名)、そのうち少なくとも40名の方の海外大学院へ進学が既に決定しています。8月から2022年度の執筆支援が始動するのにあたり、本記事では簡単に昨年度の実施報告をさせていただきます。本プログラムの概要については、昨年度の紹介記事をお読みください。

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XPLANE SoP執筆支援プログラムについて(+2020年度実施報告)【活動紹介】 2020年8月、海外大学院出願の際に必要な書類の1つであるStatement of Purpose (以下SoP)の執筆支援制度「XPLANE SoPライティングメンタープログラム」を立ち上げました。これはSoP執筆のためにアドバイスをもらいたい出願予定者と、後輩のために執筆支援をしてくださる留学経験者のメンターをXPLANEコミュニティ上でマッチングし、出願に向けてSoPドラフトを練り上げていくプログラムです。
目次

1. 初年度からの変更点

1.1. プログラム開始時期の変更

2020年度(初年度)はプログラムの試行期間を終えてからの本運用だったこともあり、支援開始は10月とかなり遅めのスケジュールでした。一方昨年度は、2021年7月にプログラム参加者の募集を開始し、8月には留学志望者向けのワークショップを2回行いました。その後、9月初めから各グループに分かれての支援(ミーティング1時間✖️6回を目安)を行いました。
これにより時間に余裕ができ、各ペアでのミーティングが2週間に1回程度と無理のないペースで行えるようになりました。終了時のアンケートで「負担が大きかった/やや大きかった」と答えたメンターの割合も初年度と比べて低下しています。今年度も同時期の開始を予定しています。

2021年度のスケジュール

1.2. 教材の充実化

昨年度行っていた留学志望者向けワークショップ「Statement of Purposeの執筆方法」の内容を増強して行うとともに、新たなワークショップ「アカデミック・ライティングの基礎」を増設し、2回の重点的な講義によってプログラム開始前の留学志望者にSOP執筆の基礎を学んでもらいました。
さらに、オンライン開催した留学志望者向けのワークショップ2回はXPLANE運営の動画編集チームの協力により動画化し、ワークショップ当日に参加できなかった方、後で復習用に見返したい方のアクセスを容易としました。これにより、メンターもワークショップの内容を利用しやすくなり、特にSoPの執筆方法を復習したい留学経験者にも役立つものとなりました。

【留学志望者から寄せられた感想の抜粋】
・ ワークショップで基本を学んでいたことが執筆の足掛かりになった
・「 1パラグラフ1アイディア」などアカデミックライティングの基礎を復習
できた
・ 動画のアーカイブで要点を押さえた

第1回ワークショップ動画 (XPLANE Slack内での限定公開)

また、執筆支援をするメンターの海外大学院生(または卒業生)向けにも、全員参加のワークショップが時差の関係で難しいことを踏まえ、「メンターサポートBook」と題した執筆支援の流れ・ノウハウをまとめたドキュメントを作成し事前に共有しました。これは特に、今年からプログラムにメンターとして加わった方、大学院出願から時間が空いてSoP執筆の記憶が古いものになっていた方にとって助けとなったようです。

【メンターから寄せられた感想の抜粋】
何回目で何をすればよいのかが目安として与えられているためミーティングの時間を有効に使えた。
・ 計画を練ることなどの雑務に時間を割かずに済んだ。
・ 記憶を呼び起こし、さらに支援を充実させるために役に立った。

メンターサポートBook(プログラムのメンターにのみ共有)の抜粋

これらに加え、初年度の当プログラムに参加して海外大学院への合格を勝ち取られた方々が、教材用として出願に実際に使用したSoPを提供してくださりました。これらのSoPサンプルは情報を匿名化した上で昨年度のプログラムのメンター・留学志望者に共有し、有意義に使用していただけたようです。今年度はさらに昨年度の方から多くの教材を集めて、例も増やせる予定です。

1.3. 執筆支援過程の研究

さらに昨年度は新たな試みとして、執筆支援過程に関するリサーチを行いました。具体的には、事前に許可をいただいた10組程度のメンター・留学志望者に、ミーティング画面を録画して支援過程の記録として提供していただき、会話分析の手法を元にして分析を行うことで、オンラインライティング指導の特徴・課題を学術的に解析し、今後のプログラムを改善することを1つの目的としています。

この研究はライティング教育を専門にされているハワイ大学マノア校博士課程の松谷優花さん(本プログラムにおいて特にカリキュラムの開発・ワークショップをお手伝いいただいています)が中心となって行われました。関連して今年10月には、国際ライティングセンター学会で本プログラムの紹介を発表する予定です。本プログラムでは単に留学経験者と留学志望者を繋げるだけでなく、学術的なバックグラウンドに基づいた体系的なライティング支援の場を提供することを目的としており、今回のリサーチもその助けとなると考えています。

2. 2021年度の留学志望者、メンターの声の紹介

今年度のプログラムに参加していただいた方の感想を、最後に紹介したいと思います。

【留学志望者からの声】
「ご自身の学業でもお忙しい中、毎回本当にありがとうございました。毎回ミーティング前に丁寧に添削してくださり、誠実な人柄が伝わってきました。」
「メンタリング期間はあっという間で、いつの間にか出願期になってしまいましたが、お二人の存在が無ければ私のメ
ンタルと出願書類はもっとボロボロだったと思います。心の支えでいてくださって本当にありがとうございました。」
「自分が本当にやりたいことは何なのか熟考したり、過去の経験から自分は何を学んだのか振り返ったりと、かなり濃
密な3ヶ月間だったと思います。メンターの皆さんからのフィードバックがなければ、このような経験をすることもできなかったと思います。本当にありがとうございました。」

【メンターからの声】
「留学を志す後輩、特に今年は自分に近い分野の応募だったので少しでもサポート出来、こちらも学びが多く参加して非常に良かったと思う。」
「学生のやる気が感じられたし、ライティングスキルが如実に向上したのを感じることができた。Youtube動画など学習素材も整っており、ただただSOPを改善するだけでなくライティングスキルの向上に寄与することができたと感じている。」
「このような素晴らしいプログラムに少しでも貢献できたとしたら嬉しいです。出願、特にSOP・diversity statementや推薦文はその分野や国の文化的知識も踏まえることが重要であり、日本の文化的知識と出願先の国の文化的知識を持ち合わせたメンターを出願者とマッチングするプログラムは大変貴重であるため、今後も続けられることを願っております。」

3. 2022年度のプログラムの内容・スケジュール

今年度も、前述の全体向けワークショップとメンターとの個別ミーティング(原則1時間×6回)を通じた執筆支援を8月末ごろから行う予定です。それぞれのペアの進行状況によってフレキシブルではあるものの、スケジュールと各ミーティングの支援内容の概要は以下の通りです。参加希望の方々は、日本時間7/16(土)に留学志望者向け説明会を開催するので、XPLANE Slackに参加してお待ちください。

■ オリエンテーションと参加者募集(7〜8月)
XPLANEのSlack内で募集(Slackへの参加方法はこちらから)

■ 留学志望者向けワークショップ(動画視聴)
SoPについての知識・書き方・パラグラフライティングの基礎を学ぶ
(基本的に動画視聴ですが、個別の質問対応の機会も何かしらの形で提供予定です)

■ マッチング(8月)
留学志望者の分野・留学先志望校/地域などをもとに、留学志望者と経験者をマッチング

■ ミーティング第1回:初回ミーティング 
分野/研究テーマ、志望校/志望学科、SoPの進捗確認など執筆支援に必要な事項の確認

■ ミーティング第2回:Generating Ideas (考案)
書きたいアイデアを列挙し、実際に書く内容を取捨選択する

■ ミーティング第3回&第4回:Organizing Ideas (構成)
アウトラインを作成し、取捨選択したアイデアを、どの段落のどの箇所に配置するかを決める

■ Drafting (草稿)
アウトラインに基づき、実際にSoPの草稿を作成する

■ ミーティング第5回&第6回:Revising (修正) (11月中旬頃までに)
草稿を内容と表現の両面において何度も書き直す

■ Proofreading (校正) (提出締め切り(12月が多い)までに)
ネイティブまたはバイリンガルによる英語(文法、スペルなど)の最終的な修正を受ける

4. おわりに

本プログラムが大きな成功を収められた第一の理由は、忙しい中でメンターとして参加いただいたXPLANEコミュニティの留学経験者の皆様のご協力に他なりません。本当にありがとうございました。また、ライティングセンター教育学・カリキュラム開発の専門家としての視点からカリキュラム設計、ワークショップ開催、リサーチにご尽力くださったハワイ大学マノア校博士課程の松谷優花さんに深く感謝いたします。

XPLANEでは、本プログラムを改善しながら将来にわたって続けることで、多くの方の海外大学院出願を継続的に支援してゆきたいと考えています。留学経験者の皆様には、これからも引き続きご協力いただけると幸いです。

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