就職→Oxford MBA→Cambridge Gender Studies修士~仕事になりづらい修士号でも諦めない!~【海外大学院受験記2023-#6】

XPLANE連載企画「海外大学院受験記」では、海外大学院への出願を終えたばかりの方の最新の体験を共有していただいています。2023年度の第6回である今回は、現在オックスフォード大学の経営学修士課程に在籍され、この秋からケンブリッジ大学の修士課程(ジェンダー学)に進学予定のてんにゃんさんに寄稿していただきました。

目次

1. 自己紹介

こんにちは、てんにゃん(Twitter: @taikryang)と申します。学部では東京大学の文系学部で勉強し、在学中に米国で1年、韓国で半年の交換留学を経て、卒業後は外資系の戦略コンサルティングファームの東京オフィスで2年半ほど働いていました。米国交換留学までは日本以外に住んだことはありませんでした。大学の在学中には趣味の英語や韓国語に加えて主に社会学、Gender studies、Queer studiesの勉強に勤しんでいました。

こちらの合格体験記では、ジェンダー学修士という仕事になりづらい学位を経済的なリスクをあまり取らないで取得するために、私がどういう選択をしてきたのか紹介していきたいと思います。Computer scienceやFinanceのような卒業後のキャリアのイメージを描きやすい学位ならいざ知らず、「XX学は好きだけどそれで大学院に行っても仕事がない!」と思っている方たちの参考になればと思います。

2. なぜ社会人→MBA→ジェンダー学の海外修士を目指したのか

なぜ学部卒業後にフルタイムで働くことにしたのか

一番大きいのは経済的理由です。私はもともと英語圏の大学院の学費が奨学金無しで賄えるほど経済的に余裕のある家の出身ではありません。また、文系分野で(特にジェンダー学で)PhDを取る場合、アカデミア以外にそれほどキャリアパスがなく、仮にアカデミアでテニュアトラックのポジションが確保できても戦略コンサル、投資銀行、総合商社などと比べて収入のアップサイドもかなり限られてしまう印象があり、金銭的な面で学部卒業後に米国で(お給料をもらいながらとはいえ)PhDをやって20代すべてを研究に捧げてしまう覚悟は決められませんでした。そこで学部卒業後は、海外留学を積極的にサポートしてくれる外資系の戦略コンサルティングファームでしばらくフルタイムの職歴を積むことに決めました。

その他の理由としては、諸事情でなるべく早く英語圏に移民したいと考えており、海外オフィスへの転籍をビザ含め積極的にサポートしてくれるコンサルティング業界が魅力的だったこともあります。

なぜMBA?

MBAについては、コンサルファームで働く中で得たビジネスについての学びを体系化して整理する時間がほしい、また留学後、将来のキャリアを考えた際に転職市場で評価されやすい、ということで進学を考えるようになりました。また、勤務先の留学のサポートが2年間までというルールだったので、英国のジェンダー学修士だけやるとせっかくもらえる2年間の休職期間が1年間になってしまう、2年半もジェンダー学から離れていたのにいきなり英語圏でアカデミックな学位を取得するのはハードルが高い、など副次的な理由も多々ありました。

なぜジェンダー学?

これについては学問的な興味があったからというのが一番大きな理由です。これからのキャリアに活かす道も模索していこうとは思っていますが、それができなくてもいいかな、と思っています。

3. 出願準備

a. 英語・テストの勉強

私は学部時代、交換留学出願の際に英語の勉強を頑張っていた甲斐もあり、院受験の際には試験勉強はすることなくTOEFLで115点を取得できました。以下、一般的な試験勉強以外に私がやっていたことをいくつか紹介します。

  • (できればスクリプト付きの)ポッドキャストやニュースを聞きまくる:私のおすすめはVoxのToday ExplainedCNN 10The Aussie English Podcast(スクリプトは有料)、Luke’s English Podcast(スクリプトなし?)などです。散歩しているとき、お皿を洗っているときなど常に英語を聞くようにし、聞き取れないところが全くなくなることを目標に、分からないところは必ずスクリプトで確認するようにしていました。最初は数十秒ごとに停止してスクリプトを確認していたのですが、何年か続けたあたりでスクリプトを確認することはほとんどなくなりました。
  • NetflixやAmazon Prime Videoなどで英語圏のドラマや映画を見まくる:私のおすすめはStranger ThingsSex EducationBoJack Horsemanなどです。わからない単語や表現が出てきたらすべてスクショを取っておき、まとまった時間のある週末に辞書で調べるようにしていました。ドラマについても分からない単語や表現はすべて確認し、すべて聞き取れるまで聞き返すようにしていました。
  • 分からなかった単語はQuizlet(オンライン単語帳)に例文単位で入れ、時間のあるときに聞きまくる:❶や❷をやる中でわからなかった単語は辞書で調べて定義を確認する→その単語を使った例文を作ってQuizlet上にまとめておく→時間のあるときに読み上げ機能を使って聞きまくり自然に口から出てくる語彙にする、というステップを踏んでいました。

まだTOEFLで100点も取れていなかった頃を思い返すと、準備せずに115点が取れるというのは途方もなく高い英語力のように感じたと思います。しかし、今の私に十分な英語力があるかというとそんなことは全くありません。まだまだ日常会話で苦労していますし、文系分野で修士、博士をやろうと思うとまだまだ英語力が絶望的に足りないと感じています。ただ、これはTOEFL満点でないと留学できない、卒業できないということでは全くないとも思っています。文系分野であればTOEFL100点程度(理系ならばさらに低くても)あれば問題なく学位は取れるはずなので、海外大学院に行きたいという思いがあるのであれば絶対にトライするべきだと思います。ただ、個人的に学問的な理解の面でも、友人付き合いという面でも、仕事面でも常に「もっと英語ができたら…」と思い続けてきました。結局できるようにならないといけないのであれば、費用対効果の高い若いうちになるべく時間を投資しておくべきだと思います。私も高校のときに1年でも英語圏に留学しておけばよかったと今でも後悔しています。

b. SOP

SOPについてはまず学校のウェブサイトをよく読んで何を聞かれているのかしっかり理解するのが大事だと感じています。そのあと、箇条書きでどんな経験やアピールポイントを盛り込むのか精緻にしっかりと固めましょう。この箇条書きの部分に一番時間をかけるべきで、個人的には箇条書きの部分だけで数日かけてしまってもいいと思っています。自分の中で初期的な箇条書きの形がある程度まとまったら、それを見せながら同じ学問分野の先輩やお世話になっている教授に時間をもらってフィードバックをもらいましょう(私は受験当時、XPLANEの存在を知らず、SOP執筆支援プログラムは利用しませんでしたが、ここでそちらのプログラムを利用するのも非常に良いと思います)。そのフィードバックをもとにまた箇条書きの形のまま修正し、フィードバックをもらい修正し、というのを何サイクルか回すと自然によいものに仕上がっているはずです。私はそこからきちんとした英文を書き始めましたが、今の時代はそこから先はChatGPTに頼ってしまえばすぐある程度自然な英文のエッセイに仕上げられる気がします(それが出願書類にどの程度許されるのかはわかりませんが…)。最後にきちんとネイティブにチェックしてもらいましょう。身近にきちんとした英語を話すネイティブがいない場合、お金にある程度余裕があるようであれば文法チェックは有料のところに頼んでもいいでしょう。

c. 推薦状

私の場合、推薦状は学部時代に東大でお世話になった教授2名と米国交換留学中にお世話になった教授1名にお願いしました。当時はまだコロナの流行中だったこともあり、メールベースでお願いしました。推薦状の内容を完全に教授に任せるのか、相談しながら固めていくのかは教授に直接確認した方がいいですが、よほどきちんと覚えてもらえていない限りはメールなどで詳細に自分にどんなアピールポイントがあるのかを事前に情報共有して、ヌケモレが出てしまうのを防ぐべきだと思います。私の場合、卒業してから2年以上経っていたのでメールの箇条書きでかなり詳しくどんなアピールポイントがあるのか共有しました。教授の方々はみんな忙しいので少なくとも締め切りまで1ヶ月のリードタイムを設けるようにしましょう。

d. Writing Sample

私は学部の卒論とジェンダー学の授業で評価の高かったレポート(両方とも日本語)を英訳して提出しました。日本語で書いたものを翻訳してもそれなりに形にはなるとは思うのですが、本当に戦略的に大学院受験をするのであれば、学部時代に卒論に加えて英語ネイティブの教授の授業など積極的に受講し、いくつか評価の高いレポートを英語で書いておくべきでしょう。

なお、MBA受験については別途私のブログで詳細に紹介する予定なので、興味があればTwitterアカウントの方から飛んでいただければと思います。

4. 受験結果

1年目(2021年後半に出願)

  1. Oxford MBA:合格
  2. Oxford gender studies:不合格

 2年目(2022年10~11月に出願)

  1. Oxford:不合格
  2. Cambridge:合格→進学
  3. LSE:合格
  4. UCL:出願前にCambridgeに合格したため未出願

5. アドバイ

経済的な理由で学部からすぐに海外の院に行けない場合でも、社会人を数年やってから出願する選択肢はあります。MBAでない学位でもサポートしてくれる会社はあるので、調べてみましょう。
ただ、時間が立ちすぎると学問分野への関心は薄れていき、推薦状を書いてくれる教授も定年退職してしまうので、決意が揺るがないうちに出願準備を始めてしまったほうがいいと思います。2-3年をすぎると難しいという感覚が私にはあったので、働き始めるときにはすでに計画を立て始め、テストスコアなど準備しておいた方がいいでしょう。
もし相談などあれば気軽にTwitterの方からご連絡ください!


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